タロット占法について(続)

 さて、前項で占う準備が終わったら、早速スプレッド&リーディングに入ろう。
 今回はシンプルに、『スリーカードスプレッド』を扱うことにする。
 スキップカウントなどの特別な技法も使わない。

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過去
原因
心理
現在
現状
立場
未来
進展
アドバイス

 1枚目のカードは真ん中に置き、2枚目のカードはその左、3枚目のカードは右側に置く。
 スプレッドの各ポジションには、それぞれ時制や対象者などの意味があるが、これらの意味は必ずしも一つとは限らない。
 スリーカードスプレッドの場合、一般的に左から過去・現在・未来とされているが、真ん中の位置を問題の現状、左を現状の原因となる事柄、右をこの問題の今後の進展を意味すると考えることも出来る。また左から、問題に際して自分がどう思っているかの心理、問題に関わる自分の立場、今後より良い展開を促す為のアドバイスを意味したりもする。

 タロットカード1枚には、複数の意味があり、その全ての意味が占いの解釈に用いられるわけではなく、このポジションの意味によって、カードの意味を選別していくことになる。
 では、例題として次ぎのスプレッドを読んでみよう。

棒の5
闘争
剣の4
休息

可能性

 各カードの主題となる意味は、棒の5が『闘争』・剣の4が『休息』・星が『可能性・才能』である。詳しくはカードの解説の項で述べるのでそれを参照して頂きたい。
 さて、左から過去・現在・未来とするのであれば、『過去に闘争があり、今は休息していて、未来に可能性がある』と言うことになる。しかし勿論こんな解釈は100点中15点の赤点である。
 では、もう少し上等に解釈しよう。

 『過去、貴方を取り巻く環境で激しい闘争があった。現在その闘争は静まり休戦状態にあり、貴方はしばしの休息を取っている。しかし、再び闘争へと戻らねばならない。未来、この問題を解決出来るような可能性を貴方は見出すだろう。』

 占う場合、主題が決まっているのであれば、それに則した流れを作り、読むのである。
 次に、左から原因・現状・進展とした場合はこう読める。

『貴方は心身共に疲労して、問題に向かいあう気力がない。その原因は、過去貴方が携わった闘争にある。今後、あなたは復帰し、己の可能性を持って新しい段階に歩み出す』

 左から心理・立場・アドバイスとした時はこう読める。

『貴方が携わっている問題について考えなおすため、今は静かに目を閉じ瞑想をしている。その心の中では激しい葛藤がおこり、貴方の瞑想を妨げようとしている。貴方はネガティブな感情を避け、妥協をせず、あらゆる可能性を探らなければいけない』

 実際占う場合は、その問題とされるものが絞り込まれていることが多い。例えばそれが、恋愛であったり、仕事であったり、健康面であったりする。この様に問題が絞り込まれると、リーディングはもう少し詳しくすることが出来る。

 問題が恋愛であるなら、次のようになる。
(過去・現在・未来)『貴方は過去、好きな人を射止めるに、多くのライバルと争ったが、その激しさゆえに、現在その競争から距離を置き、冷静に問題を見つめている。貴方の好きな人は、そのライバル同士の争いよりも、それから身を引いた貴方に注目する。貴方は競争の外で、皆の気が付かないところで彼女を射とめる可能性を持っている』

 恋愛と的を絞ったとき、『過去に恋愛の闘争』と読むことが出来るが、さらにその闘争がどのような物かを考える必要がある。例の場合は、一人の女性を複数の男性で取り合う闘争と解釈したが、もしかしたら、本人が複数の異性に取り合われている可能性もある。現在を見たとき、闘争から抜けて休んでいるとも、又は本人には手だしが出来ない状況にあるとも考えられる。

 問題を仕事とした場合は、
(原因・現状・進展)『貴方は仕事に向かう気力が低下し、無理をせず、やや力を抜いて仕事に携わっている。その気力の低下は、過去貴方が巻き込まれた職場内での闘争に原因がある。現在はその闘争の疲れから体力・気力を復活させる期間と考えて良い。今後気力・体力ともに復活・充実し、仕事に向かい合う気持ちも高まる時期が来るだろう』

  今後の展開の位置にあるカード『星』は、可能性や才能を意味するものだが、その意味をそのまま使ってもいけない。話の流れを見て、その流れに則した意味に変化させる必要がある。今回は『星』を充実・向上と解釈して見た。

健康面を見る場合
(心理・立場・アドバイス)『現在貴方は、入院中かまたは自宅療養中に身です。貴方の体を害する病魔か傷が、貴方を苦しめています。貴方が健康を回復する為には、充分な休息を取り、自然に即したライフスタイルをおくる必要があります』

 リーディングの流れによって意味を調整しなければないのは、必ずしもカードばかりとは限らない。ポジションの意味を場合によっては変化する。今回の場合、心理のポジションを占い対象者の体の状況と解釈した。現状の休息のカードは療養を意味し、闘争のカードは害のある病気または傷を意味する。もしかしたら、喧嘩による外傷の可能性もある。
 アドバイスの位置の星は、『可能性・才能』とそのまま解釈するとやはりおかしい。星のカードは自然のリズムに合わせる意味も持っているので、生活リズムを整えて療養するようにアドバイスすることが出来る。

象徴言語に馴れる

 占学概論3(占い編)第三章で述べたように、タロットカードの象徴はある種の言語体系を構成する。象徴一つ一つが、名詞であったり、動詞であったりし、その繋がりが様々な文章を作り出すのだ。
 タロットの場合、文章を作るときに用いる単語はカードの象徴だけではない。先程のリーディング例題で見たように、スプレッドの各ポジションも、時制や側面を指し示す単語の役割を持っている。
 占い師は、これらの単語を占う事柄に相応しくなるように結びつけ、そして言葉にしなければならない。
 これらは語学的な能力にも繋がっていると考えられるだろう。学生時代、又は現時点で国語が苦手な人には、占いのリーディングはなかなか難しいものかもしれない。しかし、とにかく何度も練習し、馴れることが大切である。
 語学に関して言えば、やはり習うより馴れることが大切なのだ。

 さて、一通りの占いが終わったら、カードにお礼でも言ってから大切に保管しよう。人によっては、作業が全部終わった後にカードを並び替えることもある。先に並び替えるか、後に並び替えるかは各人の判断としておこう。

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