四大六相

 【火】【水】【風】【地】の四つの概念で説明される【四大論】において、それぞれのエレメント同士の関係性を考察する。

 異なる二つのエレメントの関係性を考える場合、【火:水】【風:地】【火:風】【水:地】【火:地】【水:風】の六つ関係性が生じる。

 その関係性を図式に表したのが、下記の【四大六相】の図である。

【火】と【水】は、【感情a】のカテゴリを成し、対極関係となる。
【風】と【地】は、【理性b】のカテゴリを成し、対極関係となる。
【風】と【火】は、【表現c】のカテゴリを成し、対極関係となる。
【水】と【地】は、【受容d】のカテゴリを成し、対極関係となる。
【風】と【水】は、【群e】のカテゴリを成し、対極関係となる。
【火】と【地】は、【個f】のカテゴリを成し、対極関係となる。

【感情a】と【理性b】は、カテゴリ同士として、対極関係となる。
【表現c】と【受容d】は、カテゴリ同士として、対極関係となる。
【群e】と【個f】は、カテゴリ同士として、対極関係となる。


【感情a】のカテゴリは、物事の認識を、言語や思考によらず、イメージと感覚で行う。
自分の認識したモノを、具体的な表現形態に変換する事が苦手である。
認識したモノへの評価は、具体的:客観的な価値を基準とはせず、抽象的:主観的な【好き:嫌い】で判断する事が多い。

【理性b】のカテゴリは、物事の認識を、イメージや感覚で行わず、言語や思考で行う。
自分の認識したモノを、即座に、具体的な表現形態に変換する事で記憶する。
認識したモノへの評価は、主観的な【好き:嫌い】によらず、具体的:客観的な価値を基準として判断する事が多い。

【表現c】のカテゴリは、自己を表現する事を得意とし、積極的に行う意志がある。その反面、他者の表現を受容する事が比較的苦手で、受容する場合でも、それは【表現手法】の一つとして活用される。【聞くと言う表現方法(自分は人の話を聞くぞ。と言う自己主張)】。

【受容d】のカテゴリは、他者の表現を受容する事を得意とし、受容したモノを、即座に自己へと統合する事が出来る。その反面、自己を表現する事が比較的苦手で、表現する場合でも、それは【自己へと統合する為】の手段として用いられる。【表現と言う受容手段(自分の主張を、自分自身に理解させる為の解説)】

【群e】のカテゴリは、コミュニティ(集団)の中に、自分のポジションを位置づける事によってアイデンティティを確立する。他者の反応を持って、自分の存在確認をする為、コミュニティ(集団)の中で、高い協調性を発揮するが、集団に対する依存心を兼ね持つ。

【個f】のカテゴリは、個人主義であり、高い自立心を持っている。コミュニティ(集団)への参与は、自己実現の為の手段であり、コミュニティ(集団)への貢献には、あまり関心を持たない。コミュニティ(集団)の影響に流されづらいが、協調性に乏しい傾向がある。


【火】は、【感情a】【表現c】【個f】のカテゴリに属する。
物事の認識は、極めて直感的で、具体性に乏しい。自己表現の意志は旺盛であるが、個人主義である為、その表現は、他者に理解されづらい。しかし、理解され無くても、自己完結する為に、悩みは少ない。具体性に乏しく、一方的な表現ではあるが、強い意志に裏打ちされている為、他者を感化し易く、周囲を巻き込み易い影響力を持つ。その為、コミュニティ(集団)の中心に居る事があるが、コミュニティ(集団)には興味が無い為、個人のペースで動き、周囲を振り回す傾向にある。【爆発した理解し難い芸術を作り出し、一人で満足するタイプ】

【水】は、【感情a】【受容d】【群e】のカテゴリに属する。
物事の認識は、極めて情緒的で、具体性に乏しい。他者の表現を受容する事で、自分のボキャブラリを育て、自己充足を促す。様々な表現を受容する為に、コミュニティ(集団)に対する興味を持つが、自分自身に表現力が欠けている為、なかなかコミュニティ(集団)の中に入って行けない傾向にある。その代わり、一度コミュニティ(集団)に参与した場合は、コミュニティ(集団)に対する依存心が強くなる為、そこから離脱する事が難しくなる。情緒的であり、且つ受容的である為、自分の意志を他者に表現する事が極めて苦手である反面、他者の表現の、極めて深く繊細なニュアンスを捉える力を持つ。かなり周囲に振り回され易い傾向がある為に、後天的に強い警戒心を備える。また、表現力の代替手段として、詩的な文筆を始める場合もある。

【風】は、【理性b】【表現c】【群e】のカテゴリに属する。
物事の認識は、極めて客観的で、具体性に富む。自己表現の意志は旺盛であるが、元々【個人としての信念】が強い訳では無い為、他者の価値観に依拠した表現や、他者の模倣と言う形で、自己表現を行う傾向がある。そう言った自己表現を行い、他者からの具体的な評価を得る事で、自分のアイデンティティを確認する為、積極的にコミュニティ(集団)に参加する意志を持つ。但し、コミュニティ(集団)と言う形態に依存心を持つが、特定のコミュニティ(集団)に依存心を持つ事は無く、比較的、出入りの激しい傾向にある。【理性的】で【表現力豊か】である反面、情緒的な感受性には乏しく、人の気持ちを察したり、芸術の微細なニュアンスを理解する事が難しい。

【地】は、【理性的b】【受容d】【個f】のカテゴリに属する。
物事の認識は、極めて客観的で、具体性に富む。強い【自己意識】を持つ反面、他者に対する自己表現能力には乏しく、他者から理解され難い傾向にある。他者の表現を受容する事には積極的で、その価値を受け入れる事により、【個人的価値観】と言う財産を集積する。コミュニティ(集団)には、基本的に興味は無いが、個人的に価値が有ると判断した場合、或いは、必要性を認識した場合にのみ参与する。コミュニティ(集団)に参加する場合でも、その事前判断はかなり慎重で、その代わり、一度参加した場合は、長く留まる傾向にある。コミュニティ(集団)に対する依存心は弱く、参加する事に価値を見出せなくなったり、必要性を感じなくなった場合には、直ぐに離れる事が出来る。自分の価値観が安定しており、自信を持っている場合には、他者に対して寛容な状態を維持するが、価値観が安定しておらず、自信を持てない時には、他者に対して、極めて頑固な態度を取る場合がある。【個人主義】なので、他者からの【価値観の干渉】を許さない。また、自己表現を要求される場合には、具体的な【品物】を、意志表現の代替手段として用いる場合が多い。


【火】と【水】の関係性
お互いに、少し距離をおいた関係性を保つ事が出来れば、問題は生じない。
双方共に【感情的】な性質を共有するが、他者との交流スタンスや、コミュニティ(集団)の中でのポジションが異なる為、お互いの価値観に理解を示す事が出来ても、受け入れる事が出来ない。
お互いの距離が近付くと、【火】は個人主義を責められ、自己表現感化能力を弱められる。【水】は、集団主義を許されず、受容のキャパシティを破壊される。

【風】と【地】の関係性
お互いに対して、あまり興味を示す事が無い為、自然と距離が離れる傾向にある。
双方共に【理性的】な性質を共有するが、他者との交流スタンスや、コミュニティ(集団)の中でのポジションが異なる為、お互いの価値観を受け入れる事が出来ても、理解する事が出来ない。
お互いの距離が近付いても、【風】は集団主義を理解されず、表現したモノを認められない。【地】は、個人主義を無視され、受容すべき価値を見出せない。

【火】と【風】の関係性
お互いの距離が近付く事で、お互いの性質を強め、より動的な反応を示す。
双方共に【表現】の性質を共有すると同時に、他の対立部分を積極的に補う事が出来る。
お互いが協調すると、【火】の感情的な意志を【風】が具体的な表現形態へと変換する。【火】が直感的な前進力を示し、【風】が取り巻き、コミュニティ(集団)を形成:維持する。
但し、お互いの価値観は、共有し得ない。

【水】と【地】の関係性
お互いの距離が近付く事で、お互いの性質を強め、より静的な反応を示す。
双方共に【受容】の性質を共有すると同時に、他の対立部分を積極的に補う事が出来る。
お互いが協調すると、【水】の情緒的な認識を【地】が具体的な価値観へと変換する。【地】が客観的な必要性を説くと、【水】が共感し、コミュニティ(集団)を形成:維持する。
但し、お互いの価値観は、共有し得ない。

火】と【地】の関係性
一見、全く異なる性質を持つ二者のように見えるが、実際には根の部分が似ており、【遠くの理解者】と言う関係性を作り出す。
双方共に【個人主義】の性質を共有し、その思想的な部分において、お互いに対して理解を示し得る。但し、他の部分が対立する為、同じ道を歩む事が出来ない。
【火】は【地】の価値基準を理解出来ず、【地】は【火】の直感的判断力を理解出来ない。【火】は【地】の受容力に憧れを持ち、【地】は【火】の情熱的感化力に憧れる。
【火】と【地】は、お互いの【個】として自立しており、概ね【頑固】。

【水】と【風】の関係性
一見、とても良く似通った性質を持つ二者のように見えるが、実際には根の部分が異なっており、【近くの他人】と言う関係性を作り出す。
双方共に【集団主義】の性質を共有し、コミュニティ(集団)の中での協調性を示し得る。但し、他の部分が対立する為、同じ道を進んでいても、結局はお互いを理解する事が出来ない。
【水】は【風】の無神経さを嫌い、【風】は【水】の粘着的同情心を嫌う。
【水】は【風】の表現力に憧れを持ち、【風】は【水】の感受性に憧れを持つ。
【水】と【風】は、お互いに【集団の一員】として協調性を持ち、概ね【優柔不断】。