(続)

タロットの構成

 タロットは大アルカナと言われる22枚のカードと、小アルカナと言われる56枚のカードで構成されている。アルカナとはArcanum=秘密・秘儀、と言った意味である。
 22枚の大アルカナは、0番又は無番号の『THE FOOL』に始まり、21番の『THE WORLD』で終わる象徴画のデックである。この0番から21番までの並びは、物事の一連の流れ、ある種のストーリー性を持っているとされており、霊的成長のプロセスと目されることもある。また0番の『THE FOOL』が辿る旅ともされており、カード1枚1枚はあらゆる物事の側面、又は段階を暗示していると読まれることが多い。
『THE FOOL』に関しては、タロットの版によって21番目に置かれたりする場合がある。つまり、20番目の『JUDGEMENT』と22番目の『THE WORLD』の間に置かれる場合もある。
また、現在でも決着のついてない配列論もある。9番目のカードと11番目のカードの配列について、占星術記号の配属に関する問題があるのだ。現在手に入りやすいスタンダードなデックである『ウェイト版』と『マルセイユ版』は、それぞれ違う配列になっている。
『マルセイユ版』は古式な配属であり、9番目に『JUSTICE』11番目に『STRENGTH』のカードを配置している。『ウェイト版』は『マルセイユ版』の配置を換えており、9番目に『STRENGTH』11番目に『JUSTICE』を配置している。
タロットを学ぶにあたり、今後もし広範な西洋オカルティズムにも触れるつもりなら『ウェイト版』が取っ付き易いと思われる。純粋に伝統的なタロットを学ぶのであれば、『マルセイユ版』をお勧めする。(『カモワンタロット』がお勧め)最終的に、どちらでもカバー出来るようになることが望ましいが、始めのうちは混乱を避けた方が良いだろう。尚、現在出ているタロット解説書は、大体が『ウェイト版準拠』である。
ともあれ、大アルカナは22枚である。

 小アルカナは、4スート各14枚で構成される計56枚である。
 スートとはトランプで言うスペードやクローバーなどのマークのことである。タロットでは、Wand(ワンド)=杖・棒  Cup(カップ)=杯・聖杯 Sword(ソード)=剣 Pentacle(ペンタクル)=貨幣・五芒星・万能章 の四つのスートがあり、それぞれのスートに1から10までの数札と、King・Queen・Knight・Pageの宮廷カード(コートカード)がある。
 小アルカナのコートカードについても、タロットの各版によって多少の差異が存在する。
 少々複雑なので、別項で紹介することにしよう。
 兎に角、小アルカナは56枚である。

 大アルカナ22枚+小アルカナ56枚=78枚という構成が、現在のスタンダードなタロットの一デッキである。
 実際に占断を行うにあたっては、大アルカナ22枚だけを扱う場合、大小78枚全部を扱う場合などがある。これは各人のレベルや占う事柄によって変わるものであるが、やはり最終的には78枚全てを用いた占いが出来るようになりたいものである。

タロットを手に取る

 タロット占いを始めるのであれば、解説書を読むよりも、まずカードを手に取ってみることが先決である。
 昨今では、様々な絵柄のタロットカードが市場に出回っている。ちょっと大き目の本屋を訪れれば、占いコーナーにタロットデッキと解説書のセットが幾つかは売っおり、有名なイラストレーターが描いた美麗なカードなども置いてある。

 しかし先ず手に取って欲しいのは、現在手に入り易く、且つ占い用としてスタンダードなデッキである『ウェイト版』か『マルセイユ版』である。
 『マルセイユ版』はタロットの誕生初期の姿を比較的純粋に残すものであり、占いにも古くから使われているデッキである。
『ウェイト版』は、19世紀から20世紀にかけて魔術師(魔術研究家)として活躍したアーサー・エドワード・ウェイトが、協力者パメラ・コールマン・スミスに描かせたデッキである。彼は、今まで数札としてしか画かれなかった小アルカナのナンバーカードを、ストーリー的な背景を持たせた図柄へと変更させた。この事によりウェイト版タロットは随分と占い易いものとなった。
初心者に手に取ってもらいたいのは、占いに扱い易く且つ解説書が多い『ウェイト版』である。『ウェイト版』でタロットを学び一通り習熟すれば、その後『マルセイユ版』やその他の様々なカードを手に取っても、すぐに調整できるようになるだろう。
もし『ウェイト版』が手に入らなかったり、既に入手しているのであれば『マルセイユ版』を手に入れてもらいたい。特に『カモワン版』と言うタロットがお勧めである。
これらタロットは大型の書店で入手するか、でなければインターネット内を探せば容易に見つかるはずである。

タロットを広げてみる

 さて、タロットを手に入れたら、先ず広げて見よう。大アルカナを番号順に並べ、小アルカナはスート毎に並べると良いだろう。どの大きさのカードを持っているかによるが、随分と場所を取るはずである。
 なかなか不思議な眺めに見えるだろう。一体このカード達は何を意味し、私達に何を教えてくれるのだろうか? 絵ばかりで文字はない。言葉を持って語りかけてくるわけでもない。しかし占い師ともなれば、そこから様々な事柄を読み解かなければならない。
 では、広げたカードを端から1枚1枚見ていこう。すると、それが何を意味するか分からないまでも、何らかの印象は受けるはずである。
 それはとても重要な印象である。できれば、その1枚1枚の印象を記録してもらいたい。タロット78枚は伝統的に言われるキーワードを持っているが、それとは別に、その印象こそが今後の貴方にとっての重要なキーワードになっていくのである。
 今後長く付き合っていくこととなるカードなので、まずゆっくりとカードに馴れ親しむことである。

 タロット占いで使う用語

デッキ・・・タロット78枚一組のこと。
デック・・・本来デッキとほぼ同じ意味。筆者の文章群では、大アルカナ・小アルカナを分けた場合と、一組の大部分の束を指すときにデックと書くことにする。
パケット・・デックを幾つかに分けた一部分を指す。
パイル・・・テーブル上に置かれたパケットのこと。
スート・・・小アルカナの四つのマーク(象徴)のこと。今後統一して、棒・聖杯・剣・貨幣と書く。
シャッフル・・・デックを掻き混ぜること。
カット・・・本来の意味は、デックを二つに分けること。タロットでは、『三つにカットする』などの書き方をします。この場合はデックを三つに分けることを指し、分けたカードは次の指示があるまで重ね合わせてはいけません。
トランプ・・・タロットでは大アルカナを指す場合にトランプと言うことがある。トランプとは『切り札』の意味で、厳密には『THE FOOL』を指すのであろう。(当サイトでは、大アルカナの書きます)
ナンバーカード・・・小アルカナの1から10までの数札のこと。ピップカードとも言う。
コートカード・・・小アルカナの宮廷カードのこと。
スプレッド・・・カードを展開すること、又は展開する配置法のこと。
ポジション・・・スプレッドによってカードが配置される一つ一つの場のこと。
リーディング・・・スプレッドされたカードを読み解くこと。
ウィッシュカード・・・タロット78枚の中で、素晴らしい吉兆を示すカード。伝統的には、大アルカナ『THE WORLD』(世界)と小アルカナ『貨幣のA』と『聖杯の9』の3枚を指しますが、占い師によって他の3枚を指定している場合もあります。

 主に使用する用語は上記の通りです。今後追加していく可能性もあります。


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