季節の観光情報
 タクシーといえば、公共の乗り物です。誰もが乗れるタクシーの密室で繰り広げる「珍騒動」、「奇怪な行動」、「犯罪行為」、「不可解苦情」
 乗務員が体験する「恐怖!怪奇現象」、これらの総てを公開しちゃいます。

ファイル 1 消えたずぶ濡れ女性客
 8月のやけに蒸し暑い深夜でした。先ほどまでの豪雨が嘘のようにピッタリと止みました。乗務員Aは街中で拾った酔客を郊外の自宅まで送り届け、飲食店街へ戻ろうと、普段は滅多に通らない住宅街を走行しておりました。
『普段はお客の手が挙がる確立の低い道だけど、中心街へは近道』、雨上がりの靄のなか、届かないヘッドライトの明かりをたよりに、慎重な運転。
 ふと道路の左側に・・・・白色一面の空間に、更に白っぽ人のような影が・・・・ううぅ!出たか!
 近づくと、まぎれもなく人間。上下真っ白な洋服をまとった若い女性が、顔をうつむき加減に力なく左手を上げて、乗車のサインを出しています。
 『脚はある、確かに人間・・・』、乗員Aはハザードのスイッチを入れ、左側路肩に停車、車両を女性の正面へ付け自動ドアを開けました。
 女性は近づき、顔をドアからすうっと入れて一言「いいですかー」。
 長い髪はずぶ濡れ、濡れた髪はその頬にぴったりと張り付いていた。
 「いらしゃいませ、どうぞ」
 女性は顔を突き出し、前かがみのままで車に乗り込んできます。
 普通の乗客ならシートに腰掛けてから、脚を車内で入れるのですが、頭と脚を同時に車内へ入れようとするものだから、窮屈そうな不自然な姿。
 突き出された乗客の顔は乗務員Aの顔へ異常に接近する。Aが見た女性の顔は白く雨水であろう水滴が光っていた。
 『ヤバイかもしれない・・・・この世の方ではないかも・・・』
 Aは女性が視界に入るのを避ける様に正面を向いた。
 「どちらまで?」
 女性は消え入りそな細い声で「●●寺」
 「承知しました」
 『出た!やっぱり出た!ドライバー歴五年、先輩に聞いてはいたが、ついに俺の番かよ』
 Aは近道を選んだ自分をひどく呪った。
 車は動き出した。Aはルームミラー越しに左側シートに座っている女性を見ていた、うつむき床の一点を見つめるように、その顔は微動だにしない、車の揺れだけが女性に伝わっているように、ゆらゆらと動くだけ。
 本社から入る無線の声と、ラジオの音だけがAにとっては唯一の救いだった。
 女性に話し掛ける気にはならなかった、たまに鼻水をすするような微かな音だけが聞こえていた。
 『●●寺・・・○条○丁目、この先の交差点を左折して・・・すぐ』
 信号の変わり目を読んで、アクセルにおいた右足に少し力を入れた、読み通りに左折すべき交差点の信号は青色で進入できた。
 少々オーバースピード気味ではあった、オーバーステアで交差点を曲がり切った。目的のお寺は目の前であった。
 Aはふとルームミラーに目を遣った、そこには女性の姿は写らなかった。『へぇ?』
 自分の頭を左側に移動し、自分の後部座席を覗き込むが・・・女性は見えなかった。
 「お、お、お客さん!」、Aは悲鳴にも似たような声でルームミラーに向かって叫んだ。
 背筋が凍った、アクセルの右足の力が抜けた、ハンドルを握った両手は固まり、直進が精一杯。
 『やはり出たのね、乗せちゃったのね』
 Aはルームミラーを見続けた、振り向く勇気は無かった。このまま本社へ帰りたかった。『帰りたい』『帰ろう』そう考えた瞬間。
 ルームミラーに女性の顔が突然現れた。Aは『あわあわ・・・あぁ・・・』言葉にならなかった。
 幽霊が顔を上げ口を開いた・・・「こけちゃった〜」
 この幽霊は交差点でシートの上で横倒しになっていたのであった。
 
 運賃690円と濡れたシート(営業続行不可能)と冷や汗・・・・・A乗務員の本日の勤務は終了した。
 毎度ご乗車ありがとうございます。
 

ファイル 2 美味しくない客
 タクシー業界では、乗車距離の長い客を、「ロング」「お化け」「脚長」「上客」「美味」などと呼びます。
 バブル時代は、1.2万円はザラ、3.4万円の客も珍しいことではありませんでした。
 そんな頃のお話しです。
 乗務員BはJR駅のタクシー乗り場で客待ちしていました。そこへ一人の中年男性の乗客が。
 「●●駅まで」(道内の地方都市)
 乗務員はメーターを入れて走り始めました。『●●駅までは、車で2時間30分、特急だと2時間、列車が無い時間ではない』
 乗務員は乗客へ尋ねました。
 「今の時間なら特急がありますよ、時間も掛からないし、運賃もタクシーに比べて格安ですよ、このまま行っても良いのですか」
 乗客「そ、そうなんですか?それじゃ、列車で行こうかな」おどおどとした口調で車を止めるように言いました。
 乗務員「そうですか、それじゃ、480円になります」
 乗客「お金が掛かるんですか?」
 乗務員「もちろんですよ、もう走行してますからね」
 乗客「やっぱりタクシーで行きます。このまま行ってください」
 乗務員は車を走らせました。乗客は落ち着かない目で車窓を、乗務員の顔をみています。
 道中、乗務員は乗客にいろいろと話し掛けました。他愛もない世間話です。
 乗客の顔色は良くありませんでした。
 突然乗客から話し掛け出しました「運転手さん、すいません。やっぱり俺にはできないわ。警察へ連れて行ってください」
 乗客はタクシー強盗を目的にタクシーに乗り込んでいたのでした。480円の初乗り運賃さえ支払えない程度の所持金でした。凶器を出しなさいという乗務員の一喝に乗客は大きなサバイバルナイフを、大人しく乗務員へ渡しました。
 警察署に横付けし、乗客を警察官に引渡しました。
 乗務員は帯広駅で「●●駅まで」と言われた時から、タクシー強盗の可能性を考えていたのです。ですから、車内では犯人の犯意を鈍らせる目的で、犯人に話し掛けていたのです。また、売上金の入ったバックを犯人の目の届かない場所に隠すなど、堅実な強盗対策をとっていたのでした。
 いくらバブル絶頂の頃、特急列車があるのにタクシーで行く客は皆無でした。
 そんな美味しい客などいるわけがありません。
 毎度ご乗車有り難う御座います。
 

ファイル 3 タクシーチケット不正使用
 タクシーを利用するときに便利なのが「タクシーチケット」です。
 個人契約はしておりませんので、会社契約となっています。
 このチケット、紛失、盗難、譲渡、売買などのいかなる理由において、第三者に使用されてしまった場合でも契約者に運賃を支払っていただくことになっております。
 契約者が紛失したチケットをネコババして、捕まった犯罪者のお話しです。
 チケットをネコババしたのが1年前、使うべきか使わざるべきか、かなり迷っておりました。そしてとうとう飲みに行く機会にタクシーの乗務員へ出してみたところ、疑われることなくすんなり受領されました。
 翌日、チケットを共集管理しているハイヤー協同組合のコンピュータが、紛失チケットの不正使用を検知、乗車車両の特定、乗客の経路、人相、風体を職員が現地で調査しました。
 自宅を明かさないために、降車場所を数十メートルずらしていました。調べる側はそれを百も承知です。
 そんなことが、数ヶ月おきに二度、三度と続き、この犯罪者の住居は特定しておりました。
 そして一年後、タクシー会社へ一本の配車依頼が、その乗客が使用したチケットはまたもは紛失チケット、タクシー会社の配車システムには、携帯電話の番号と、配車先住所がしっかり記録されておりました。
 不正使用された契約者へ連絡、契約者は不正使用者と交渉、損害を弁済することで示談が成立しました
 ちなみに告訴すると、窃盗罪になるでしょう。
 タダ乗りは許しません。永遠に調べて追い続けます。職員のしつこさは半端ではないです。刑事顔負けです。
 チケットを契約のお客様。チケットの管理はしっかりお願いします。

ファイル 4 タクシー強奪
 忘年会シーズン真っ盛りの深夜の繁華街、かなり深酒された美女が乗車。
 品のあるご婦人にもかかわらず、乗った途端に豹変・・・・
 「何処を走ってるんじゃー」「テメー」「ボケー」「カスー」の暴言の数々、とうとう後ろから乗務員を蹴る殴る羽交い絞め。
 乗務員はとうとう耐え切れずに交番へ逃げ込みました。
 乗務員は警官を呼びに交番の中へ、その隙に女性は運転席に座り込み、タクシーを発車。タクシー強奪の暴挙にでました。
 もちろん、警察署では緊急配備、数十分でさほど離れていない場所で、停車しているタクシーを発見、女性を確保しました。
 発見された時の女性は、パンツを脱ぎ捨て失禁状態。シートは小水でベタベタでした。
 本日の業務は終了。
 酔っ払いに車両を強奪された記録は、後にも先にもこれだけです。
 強奪途中に事故が無くて幸いでした。

ファイル 5 タクシーに囲まれた!
 協会に舞い込んだ苦情?
 「知人の車両がタクシーと接触事故を起こした、現場でタクシーに囲まれ、話し合いのタクシー事務所でもタクシー会社の人間に囲まれた・・・というもの。
 協会では個々の事故交渉に一切関与しておりませんが、電話の人間とタクシー会社からよくよく話しを聞くとこんな事実が・・・
 事故の場所は深夜の繁華街、自家用車両には任意保険が掛かっていませんでした。
 帯広の夜の繁華街、自家用車両とタクシーの接触事故は多々あります。込み合う繁華街ですから事故は必然なのですが、自家用車両の運転手さん・・・酒気帯び、酔っ払い運転です。ぶつかれば逃走を図ります。当然、ぶつけられたタクシーは逃がしまいとして仲間を呼びます。
 それと、若者の車両・・・殆どが任意保険が掛かっていません、車検切れだっています。当然、事故れば猛ダッシュで逃げようとします。
 逃げられればタクシーは泣き寝入りです。
 事故の当事者を事務所へ呼んで示談交渉です。任意保険も入ってない、支払い能力も疑わしい相手と交渉になるでしょうか・・・?代理人をたてていただくしかありません。
 酔っ払いがハンドルを握り、保険にも入ってない、事故の賠償能力のない人間が運転する車両が街中を爆走している・・・それが帯広です。おっそろしい街です。
 当て逃げされるタクシーの損害、統計などとったことはありませんが、年間百万、二百万の額にのぼっているでしょ。
 当然タクシーだって防衛手段を執ります、追いかけます、逃げられないように囲みます。賠償の支払いが保障されるまで事務所から返しません。
 車を運転する者としての義務を履行してから、ホザいていただきたいものです。
 石を投げれば「非常識」に当たる時代を痛感。

ファイル 6 プライバシーの守秘義務 
 たまーに、○条○丁目付近からこんな乗客を乗せたタクシーを捜してほしいとの問い合わせがあります。
 タクシー会社やハイヤー協会には乗客のプライバシーを守らなければならない義務があります。よくよくお話しを聞いてみると、自殺の可能性でもある家出人探しでもなさそう。
 犯罪や人命に係る捜索協力ならできますが・・・それ以外の場合にはお答えしかねます、とお断りをします。
 どうやら、自分の妻(夫)の浮気相手の居場所を探ろうとして問い合わせているようです。
 そんなことに返答してしまった時には、どんなトラブルに巻き込まれるか、たまったものではありません。絶対に返答しないタクシーです。探偵の片棒は担ぎません。 
 この種の問い合わせ・・・バブルの頃は多かったですね。
 家出人捜索の場合は、家出人届けを警察に出している場合のみ対応いたします。勿論、届け出た警察署へ当該届出の確認をしてから調査します。

ファイル 7 領収書の改ざん、旅費の二重支給
 
社用や公用でタクシーを利用される方も大勢います。
 もちろん、領収書を求められるわけでありまして、領収書をお渡しいたします。。。。。が!「金額を水増ししてくれ」とご要望のお客様・・・多いですね。特に●費でご乗車の●●員のお客様ですね。。。。●●員天国でしょうか。
 最近、領収書はタクシーメーターと連動し、自動的に印刷されるものが多くなりまして、水増しも少なくなったと思いきや!新手が現れております。
 タクシーチケットで支払いながら、領収書を請求されるのでありす。チケットは後払いでございます。毎月月締めでまとめてお支払いいただきます。その時点で総額の領収書を協同組合が発行するのです。乗車時にも領収書をお渡ししてしまえば、領収書の二重発行となっております。
 中には断りきれない乗務員が領収書をお渡しすることもあるようです。
 また、「お前のところのタクシーは二度と乗らないぞ」などと脅して、領収書をせしめる輩もおります。
 ●●員の皆様、セコイ真似は止めましょうよ。ただでさせ安くない旅費を支給されているでしょ。
 旅費規定云々に抵触していませんか?

ファイル 8 タクシーと駐車違反
 タクシーと駐車違反、切っても切れない関係かもしれません。日本全国同じ状態です。
 景気が良い時代は車が足りないと叱咤され、景気が冷めると街に溢れる車が多すぎるとモンクを言われ。
 タクシーの先には乗客がいます。乗務員だって駐車をしたくはありませんが、そこから客が出てくるのですから、停まって待ちたくなるのも心情です。
 ただし、周辺の流れを妨害したり危険要因となる駐車は論外です。厳しく対処しております。
 「タクシーの客待ち駐車が原因で自家用車が駐車違反できない」???こんな苦情?が多いのは事実です。
 タクシーが綺麗さっぱりと無くなれば、そこに自家用車の駐車が溢れのは明らかです。なにせ人が集まる施設であったり、集客力があるお店なのですから。
 看板を背負っているだけで眼の敵ですからね、同じ言葉を駐車して車から離れて,緊急車両の通行を妨害している自家用車のドライバーや、夜中の繁華街の道路の真ん中へ尻を出して停めている黒フィルムの怖いベンツに言ってから、タクシーにモンクを垂れてほしいものです。
 街中には路上駐車の許可をとってタクシー乗り場としている場所も多々あります。『人のフンドシで相撲をとりやがって』などと言いがかりをつけられます。
 周辺路上のゴミ広い、冬期の除雪をしてから言ってほしいものですなー。清掃や除雪、除雪費用の負担をして、自分は公共の輸送機関だ!と宣言してから、どうぞタクシー乗り場に自家用車をお停めください。
 無知、非常識な人間の意見を聞かなければならない苦痛は、嘔吐を我慢するにも等しい・・・
 皮肉を込めて言いましょう 『This is 帯広』 とね。

ファイル 9 タクシー運賃と公共料金
 深夜の酔客で困ってしまうのが『タクシー運賃をまけてくれ』『○○lまでいくらで行く』と言うお客様。
 遠い町村へお帰りのお客様が多いのです。タクシー運賃も高額になってしまいますが・・・・。
 実はタクシー運賃・・・・これは立派な公共料金なのです。北海道運輸局というお役所が認可した料金なのです。他に公共料金といえば、電気、ガス、水道、NHK、JR、航空、バス、等々沢山ありますが、それらと全く同じなんですが。理解されていないお客様が多いですね。
 平然と『まけてくれー!』と言われましても『ハイ』と二つ返事で値引きするわけにはいきませんね。
 北電や市役所で公共料金を『まけてくれ!』言う人・・・・いませんよねー?
 タクシー運賃を値引きする行為・・・違法なんです。
 値引きを強要するお客様・・・乗車拒否させていただきます。正当な乗車拒否となります。電話代や電気代を支払わなかったら、使用できなくなりますよね、それと同じです。乗せません。正規な料金をお支払いいただいて、初めてお客様となるのです。

ファイル 10 つり銭とチップ
 運賃をお支払いいただいた際に、小銭を「つり銭はチップだからとっておいて」とひと声をかけて、スマートに降車されるお客様。乗務員にとっては、嬉しく有難い限りです。自分のサービスや接客が評価された証なんだと、仕事に励みも湧いてきます。
 気ぜわしい師走の季節に「つり銭はチップよ」と颯爽と降車されたご婦人の話しです。
 A乗務員は師走の街を流しておりました、道の左側で手が挙がりました垢抜けたコートを御召しのご婦人でした。これから病院へお見舞いへ行くとのこと、お急ぎの様子でした。
 病院へ到着、メーターは1,810円を刻んでいました。ご婦人は五千円札を乗務員へ渡しお釣りを待ちました。
 乗務員は、自分の手持ちの10円玉が少なくなっていることに気づき、10円をオマケするつもりで、まづ、200円をお返しし、残りのつり銭3千円をお渡ししようとした瞬間!ご婦人は「つり銭はチップよ、とっておいてくださいな」と言い渡し、車を降りてしまいました。
 乗務員『ええ!?こんなにたくさん!?』『お客さん〜、こんなに多いですよ』
 ご婦人『いいのよ〜、とっておいて』 ご婦人は病院の中に消えました。
 乗務員は困惑しました。ごくたまに酔って気が大きくなってしまった紳士が、気前良く数千円のチップを置くことはありますが、真昼間にご婦人が千円単位のチップをはずむことはあり得ませんでした。
 乗務員は狐につままれた感じで、そこを離れました。
 さて、数時間後・・・ハイヤー協会にそのご婦人から電話が・・・『五千円札を出したのに、二千円をだしたものと勘違いし、乗務員へ三千円のチップを誤って渡してしまった、出来ることなら返してほしい・・・』とのこと。
 幸いに乗務員の苗字の一部を覚えていらっしゃたので、その乗務員を見つけ出すことができました。
 つり銭を返しにきた乗務員は『気味が悪かった、絶対に何かの間違いだと思っていましたよ』『つかの間の夢でしたね』
 お釣りを引き取りに来たご婦人は、大変恐縮そうにいらっしやいました。乗務員へということでお菓子をご持参でした。『気ぜわしい師走ですからね、たまにあるんですよ』と慰めて差し上げましたが、こんなこと滅多にありません!
 気分良くご乗車いただけましたら、チップをおはずみ下さいませ。
 ただし、お札はご遠慮いたします、小銭で充分です。 
 毎度ご乗車ありがとうございます。
  

ファイル 11 気遣いと忘れ物
 東京方面から来帯したビジネスマン3名さまのお話しです。
 社用で3名様が同じタクシーで市内を巡り仕事を片付けておりました。仕事も終わって3名様がホテルで降車されました。
 降りる際、最後に降車されたお一人が、シートの上に携帯電話が置き去りにされているのを発見、その携帯電話は先に下りた同僚の携帯と同じ機種、同じ色でした。
 てっきり同僚の携帯と思い込んだその方は、携帯をポケットへしまい込み、車を降りました。
 『君の携帯だろ?タクシーのシートに落ちていたよ』
 『ええ!?自分の携帯は、これこの通りありますよ』
 前回に乗った乗客の携帯電話でした。
 三名は考えあぐねた結果、ホテルのフロントへ預けて、離帯しました。
 さて、携帯を預けられたホテルでは、考えあぐねてハイヤー協会へ連絡し、携帯の引取りを依頼しました。
 引き取った、ハイヤー協会では警察の遺失物係りへ引渡しました。
 携帯の忘れ物は、電源が入っていれば持ち主から電話が来て、引渡しができるのですが、ロックが掛かっている携帯はお手上げです。速攻で警察へ届けます。
 預かっている間に、通話料が発生したなどと(あり得ないが)因縁をつけられるケースがあるからです。
 ドコモでさえ、携帯の遺失拾得物は預かりません。(所有者をすぐに特定できるのですがね〜)

ファイル 12 自宅前遭難(ホワイトアウト)?
 雪の季節の出来事でした。
 街中で飲み会帰りの若い女性客が乗車されました。自宅は市外の畑作地域です。
 町名と地区名まで聞いて出発しました。
 その地区に近づき、乗務員が自宅はどの辺りなのかお聞きしても、本人には見当がつかない様子。自宅の位置さえ判らないほど深酔いしていたようです。
 外は吹雪です、乗務員はタクシーのメーターを止めながら走行し、見覚えのある景色や建物がないか乗客へ配慮しました。また、このまま交番へ行って自宅を尋ねましょうと、乗客に進言しましたが乗客は拒みました。
 しばらくすると乗客は『あの家が自宅だわ』。幹線の道路から100mほど奥まった畑の中にに一軒の民家がありました。
 自宅までの私道は吹雪で覆われ、とてもタクシー車両では進入できる状態ではありません。『車はこれ以上進めません、どうします?』の問いに、『もう大丈夫、一人で行けます』の返答。
 女性は車を降りて一人でスタスタと歩き出しました。
 乗務員は心配だったので、車を停めたまま女性の姿を追っていました。自宅の玄関まで十数メートのあたりで、もう安心と判断して、車を発進させました。
 次の日、関係機関から連絡が・・・・・
 その女性は、玄関前まで来てその住宅が自宅ではなく、隣家であることに気付き、100mと離れていない自宅に行こうとして、雪の中を2.3時間彷徨い、裸足の状態で足に凍傷を負って自宅にたどり着いたということなのです。どこを彷徨っていたのか本人の記憶も飛んでいました。
 吹雪の中で、酔いが覚めなかったのですね、そこまで深酒していたんですね。
 これって、乗務員の責任でしょうかね?
 意見の別れるところですね。
 

ファイル 13 高額現金の遺失拾得物
 正月早々、出ました! 宝くじではありません。
 現金95万円の車内でのお忘れ物です。即刻、警察署へ届けました。
 届より早く、落とし主からの遺失物届けがあり、95万円は落とし主へ返還されました。
めでたし、めでたしです。
 さて、車内での拾得物・・・落とし主が現れなかったら、誰のモノになっちゃうのでしょうね?
 乗務員・・・・違います。タクシー車両の所有し、占有しているタクシー会社の拾得物になります。つまりは社長さんのモノとなってしまいます。ただし、拾得者の報労金については、占有者と拾得者は別々なので、仲良く半分とまります。
 そこでまた複雑になるのが、乗客が発見した場合です。乗客が発見し乗務員へ届け出た場合です。
 遺失物法によると、この場合占有者を拾得者と見なすと書いてありますが・・・乗客は怒るかも・・・
 高額現金の落し物といえば、賞与の後とか転勤シーズン(お餞別)に多いのですが、正月では珍しいことでした。
 

ファイル 14 タクシーチケット乱発
 半官半民のような事業所からです。「1年前にチケット契約を解約したが、最近、チケット利用により請求書が来ているが、払う義務はあるのか・・・?」
 契約時や解約時にも、解約後に使用された残チケットについてもお支払いいただきますと、説明しているのですがね。
 どうやら、前経理担当者がチケットを乱発しバラ撒いていたようです。
 チケットとは、支払いの約束手形のようなものです。一枚につき上限5,000円のカラ手形をばら撒いていたのです。当然、誰に何枚を配ったかも記録なし。
 経理担当者の背任行為ですね、それで何故、こちらが債権を放棄しなければならないでしょ?経理担当者に払わせれば済むお話しです。
 半官半民事業所からの問い合わせとは思えないほどの、呆れたお話しでした。
 

ファイル 15 恐怖の仲通 その1
 とある街の繁華街の仲通です。
 車道を狭くして歩道を広げました。そして、歩道にはロードヒーティングを施しました。
 タクシーにとっての悪夢はそこから始まりました。
 冬期の降雪時期になると、車道の路面がカマボコ状になってしまうのです。
 車道に降り積もった雪は溶けませんが、両側歩道はすっかり溶けます。車は両側が低く、美しいまでの曲線を描く路面を、綱渡りのようにソロソロと走行しなければなりません。
 夜ともなれば、飲み屋街のその仲通はタクシーやオッカナイ人の車両で溢れます。
 オッカナイ人は、遠慮も無しに車線に堂々と車の尻を出して駐車します。
 その脇を通過するタクシーはヒヤヒヤものです。5センチ10センチの脇を通過するのです。ズルッと横に滑ると一巻の終わり。。。。
 そんな時に限ってズルッとやってしまいます。
 後は推して知るべし。。。。。。『どないしてくれんやー』『ぼけー』『新車返せー』。。。常識の通じない世界へ引っ張り込まれます。
 自治体も一生懸命に排雪をしてくれてますが、作業に入る時期がちょっと遅いんですね。
 自家用車の皆様も通らない方が賢明ですよ。
 仕事で通らなければならないタクシーは命懸けですわ。マジです。
 あんな道路。。。。作ってほしくなかった。。。。カッコは良いけど。。。。欠陥ですわ。

ファイル 16 恐怖の仲通 その2
 『人間当たり屋』ってご存知ですか?
 とある街、夜中の繁華街の仲通をノロノロ徐行しているタクシーに、生身の人間が当たってきて『足を惹かれたー』『ヒザを打ったー』と訴えて治療費をせしめようとする輩です。
 タクシーの後ろタイヤに轢かれたり、車の側面にヒザをぶつけてみたり、明らかに自らが飛び込まないと説明のつかない事ばかりです。
 タクシーは治療費など払ったことありません。後続のタクシーの証言がありますし。被害者の証拠?なるもの(靴の汚れ)がいかにも嘘っぽいのです。
 タクシーからは金を取れないとなると、自家用車にも飛び込むかもしれませんね。皆様、御気を付けませ。毎年のように起きています。
 そんな時は、落ち着いて警察本署の事故係りに届けるのが一番です。『またお前かー』ってことになって、事故扱いはしないでしょきっと。
 その街の警察署の事故係りは正義の本官さんです。
 

ファイル 17 輸送とサービス
 老女と言うにはまだ早い初老の女性からのお電話でした『スーパーで買い物をして、荷物が沢山あるので自宅の中まで運んでほしい』と、運転手へ言ったところ。『俺の仕事では無い』と断られた。あまりにも不親切ではないか。。。。という内容です。
 電話口の対応では『まったくその通り、不親切な運転手ですね、厳しく叱っておきます』と返答したものの。。。
 そこまで運転手がしなければならないのだろうか?とふと疑問が。旅客輸送であって貨物輸送ではない、便利屋でもない、乗務員にそこまでやれと言うべきなのか。。。
 乗って頂く大切なお客様、そこまでサービスするのは当然という意見もあるでしょうが。。。それでは、どこまでが当然のサービスになるのでしょうか。
 ここで言うのは当然に無償のサービスです。
 乗客より年老いた乗務員が重い荷物を運ぶこともあります。これもサービス?
 乗客の自宅の中の米びつへ米を入れる乗務員もいます。これもサービス?
 欧米のようにサービスにはチップが伴う有償サービスの慣例があれば。。。いいのになぁ。

ファイル 18 心温まるエエ話し
 ご婦人からのお電話です。
 過日、夫が近所を歩行中に急に気分が悪くなり、路上にうずくまってしまいました。
 そのとき、通りかかったタクシーの乗務員さんが、車を停めて声をかけてくれました。
 容態を察した乗務員さんは、夫をタクシーに乗せ最寄の病院へ送り届け、そのまま静かに立ち去りました。
 運賃はもとより、お礼も述べていない。
 ついては、乗せてくれた乗務員を探してほしいとのことでした。
 旦那様は心筋梗塞で倒れられたようで、病院搬送が早かった甲斐があって翌日に手術し一命は取り留めたとのことでした。
 病床の旦那様は、運賃も払ってないし、お礼も言ってないと、かなり気になさっている様子なので、夫人がその乗務員さんを探し出すべく、色々手を尽くしているのです。
 タクシー会社全社へ紹介をかけていますが、乗務員が名乗り出るか?どうか?
 それにしても、カッコイイ乗務員だなー。
 

ファイル 19 タクシー強盗?
強盗事件発生!
帯広駅から帯広警察署までご乗車。警察署の正面玄関で凶行に及ぶ。
乗務員「690円です」
乗客「これでとってくれ」とカッターナイフを出す。
乗務員「それじゃー金にならないよ、降りてくれ」
乗務員は警察署の中から警官を呼び、犯人は御用となる。
強盗と言えば強盗だけど。
純金製のナイフだったら。。。どうなるのかな?
「毎度ご乗車ありがとうございます。次回もどうぞ」ってなるのかな?
犯人、生きるのが面倒で捕まりたかったとか。
切ない事件です。

ファイル 20 強制ワイセツ男の逮捕に協力
女性を押し倒し馬乗り!強制ワイセツ事件発生!
目撃したタクシー乗務員は女性を車内に保護。
同時に逃走する犯人を追跡しながら、警察へ通報。
犯人は逃げ切れず御用となりました。
お手柄の乗務員さんでした。
もちろん、警察署長さんからは感謝状の贈呈。
時は午前3時過ぎ、街中の出来事でした。
帯広も物騒になったものです。
『タクシーは第二のパトカー』を実感。
市民の安全に一役かっているタクシーです。

ファイル 21 マジック手品?
男性一名様がご乗車。
お支払は一万円札、前席中央のコンソールボックス上のつり銭トレイに一万円札を置いて、乗務員はお釣りを準備、お釣りを乗客へ手渡しドアを開放、「ありがとうございました」と、トレイの一万円札をバッグに入れようとしたが、見当たりません。
シートの下に落ちてしまったのかと覗き込みますがありません。
車内どこを探してもありません。
降りた乗客が手品のごとく持ち去ったとしか考えられません。
マジシャン様のご乗車でした。

ファイル 22 偽造チケット
旧一万円札がニュースで賑っていた頃。
プリンターでコピーされた偽チケットが使用されました。
夜間、暗い車内では判別が難しいかな。。。程度の偽モノ。
コピー元の原本契約者へ請求します。
悪意を持った第三者へ譲渡したのですから、契約者様の責任ですね。
知人に犯罪者がいるのですから、静かに支払ってくれました。

ファイル 23 セクハラ?
「運転手にセクハラ行為を受けた!!」という申立です。
酔って乗車した際に、車から玄関まで抱かかえられて運んでもらったが、
その際に胸を触られたということです。
当該乗務員へ事情聴取。
乗務員は30歳代の青年、乗客は80歳近いご婦人。
親切心でとった行動につけ込まれたようです。
「乗務員はセクハラ行為は行っていません、よって、謝罪、賠償は
いっさい行いません。警察、裁判所お好きなようにしてください」と反論。
その後、音沙汰なし。
示談金をせしめようと企てた老女のようです。
ご乗車ありがとうございましたぁぁぁ!!!!