’09年8月12日 知床釣行






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「厳しい今を乗り越えると、美しい知床が待っている」これが夏の多忙期を乗り越える原動力になっているかも知れない。今年も11日に仕事を終わらせ、午後8時頃に帯広を出発。天気予報では12日曇り、13日雨とのこと・・・13日のことはその時に考えようと、毎年11日の夜を過ごすテン場に向かう。今年は相棒も都合がつき、深夜に現場で合流。一面の曇天で霧が立ち込め、ペルセウス座流星群は見られない。もっとも今年は月が太いので、どちらにしても諦めていた。


明けて12日、午前6時過ぎに寒くて目が覚める。車の外は少し靄っているが、天気は持ちそうである。パンにコーヒーの朝食を済ませて、私の車で釣り場に向かう・・・が、林道入り口でご覧の掲示である。今年の大雨の影響で林道が一部が壊れているようである。

まあ、予定の入渓場所まではたいした距離ではないし、歩くことにした。二人で林道を歩くが、これがけっこう長い。次のカーブが終わるときっと入渓点が見えるだろう、が何度も続く。車のありがたさを二人で噛み締めながら8時前(時計を持たないので多分)ようやく到着。

ロッドは2番の7ft9in、リーダーは9ftの4X。ダブルヒットすると困るので、ドロッパーは着けないで釣る。最初のフライはブラックジェイの10番。二人で釣り下り始める。



水量は例年に比べるとかなり多い。今までこの川で渡渉の場所を考えること等なかったが、今年は時々下流を見ては渡渉点を考えながらの釣りである。気温は低く、15度程度だろう。魚の活性が心配だったが、ちょっとロッドを振ると、全くの杞憂であったことが証明された。林道が閉鎖されているので、歩きでここまで来る人が少ないせいか、出は良い。が、水が多いので、魚があちこちに散っているため、ポイントが絞りきれない一面もある。

かなりの大水だったのか、川岸の木の枝に草が引っかかっていている。流れも少し変わっていて、場所によっては初めての川のようである。


オショロコマの写真を撮ろうと、触る前に水で手を冷やすが、痺れるほど冷たい。この低い水温にもかかわらず、反応は良いし、ご覧のように魚体は丸々している。腹もしっかり膨れているし、コンディションは最高である。この鮮やかな朱点、美しい鰭、疑うことを知らない反応、これが私の夏休みである。



相棒が釣っている時、川原で休んでいると足元に大きな風切羽根が落ちているのを見つけた。多分シマフクロウのものだと思う。今年は夜に鳴き声を聞かなかったが、この付近にはけっこういる。昨年は「ボウ、ボウボウ」という大声を何度も夜中に聞いた。

しばらく手に取り、この付近でシマフクロウがオショロコマを狩っているんだろうな、と周りの鬱蒼とした原生林を改めて見回す。全くの手付かずで、川の中以外は人間が移動できる場所ではない。

背中のレインギアを入れる大きなポケットに仕舞いこんだ。

この川の川原はご覧のように様々な色の石が落ちている。組成も様々で火成岩、堆積岩、変成岩と見ていて飽きない。座っている付近の石を集めて比べると面白い。

この川は本流で、数えきれないほどの支流がある。その支流の崖が侵食され、水に運搬されここに着いたのだろう。一本川の川原ではまず見られない種類である。このうちの一つをベストのポケットに。ロックガーデンの飾り石に使う。私は魚を持ち帰らないので、鳥の羽、石、草の種などがトロフィーになってくれる。

午前中は時々薄日も差し、20度近くまで温度が上がっただろう。休み休み次々に釣って行く。



で、今年も恒例のイケスを作ってみた。じっくり観察していると、釣ってすぐの時は黒っぽい色と黄色っぽい二種類の色の魚に分かれていた。着いている場所の色に合わせているので、私が釣った魚は黒っぽく、相棒が釣った魚は底にクリーム色の岩盤があるので、黄色っぽい。

しかし、しばらくすると全部黒っぽくなってくるのである。見間違いかと思ったが、相棒が釣って入れたての魚が画像の上の部分にいる。明らかに違う色をしている。

着く場所によるオショロコマの色の違いはかなり前から解っていたが、これほど早く変色するとは思わなかった。多分、5分とかかっていなかっただろう。これくらい早く周りの色に溶け込まないと、天敵に狙われるのだろう。


この魚は深い所からフライにアタックしてきたが、棲んでいる緑の淵の色をそのまま背中に映していた。しかも、オショロコマの特徴である朱点がない。これだけがこういう色なのかと確認のためにその淵で数匹釣ったが、ほとんどの魚が同じ色をしていた。

オショロコマの英名はドリーバーデン。この名は「クリスマスキャロル」で有名なチャールズディケンズの「バーナビーラッジ」という小説に登場するドリーバーデンという名の美しい女性が赤い水玉模様の服を着ており、それに因む。つまり朱点が名の由来なので、この淵にドリーはあまりいなかったことになる

上の部分にカメラのストラップが写ってしまった・・・。



昼近く(多分)になると川下から時々霧が風に吹かれて上がってくる。これが冷たく、陽も全く射さなくなってきた。予定の場所まで釣るのを断念して、川沿いに入渓点まで戻ることにした。

帰りもちょこちょこロッドを振ったので、けっこう時間がかかったようである。入渓点に戻り、林道をだらだら歩いて車に戻ると午後2時になっていた。6時間ほど遊んでいたようだ。時間の感覚は全くなくなっていたので、意外と遊んでいたことに少々驚きつつ、おにぎりをほおばる。

夕方のために軽く午睡を貪る。4時過ぎに毎年イブニングを楽しんでいる所に移動する。しかし、この頃になると霧が濃く立ち込め、涼しいを通り越していた。気温は10度ちょっとか? 吐く息が白いので、上着を二枚着重ねし、川に下りる。


少し深めの所に立ち込んでいると、足から冷える。いつもの夏なら、この冷たさが気持ちよいのだが、今年はネオプレーンの方が良かったと本気で思うほどだ。寒さで活性が低いかと思ったが、活性が低いのは私たちだけで、彼らは全く関係なくバンバン出る。画像のように魚を持つ時、水で手を冷やすが、これをやると濡れた手がかじかんでしまう。

フックをはずす時に袖や手に水がかかって濡れるとこれがまた冷たい。左手ばかりでフックをはずしていると、冷えて感覚がバカになるので、右手でもはずす。結局両手の感覚がなくなってしまった。もはや夏の釣りではないな、と思いつつもけっこう長くやってしまい、車に戻った時には7時前になっていた。

戻ってまずやったことは炭火を熾すことだった。これに手をかざし、暖まった。冷えた体がようやく暖まってきた頃、霧雨が降り始める。


相棒の車は後ろの大きなドアが上に開くタイプなので、それを屋根代わりにして下でお湯を沸かし、パックご飯を温める。この後、炭火で焼肉を突付いた。胃の中にしっかり物が入ったので、体温も上がり、一息ついた。

翌13日の天気予報は雨になっている。ここで野宿して、去年のように原生花園に行こうかとも思ったが、この寒さの中で簡易シュラフ一枚の野宿は風邪を引きそうなので、撤収することにする。

帰りの道で道路標示に気温が13度と出ていた。私たちが釣っていた所は標高もずっと高いので、もっと低かっただろう。霧雨の中、帯広に着いたのは日付が変わる前だった。9時間も川で遊んでヘロヘロになったが、これがまた充足感を伴い心地良い。またきっと来年もあの場所で野宿して、あの川で遊ぶことになるだろう。もはや中毒である。

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