フィールドウォッチングの楽しみ

フィールドウォッチングというと双眼鏡、図鑑、ノートなどが必要で、何やら難しそうですが、何のことはありません。単なる野歩きです。森でも河原でも、どこでもOK。近くに公園があればその木々の元を歩くことでも立派なフィールドウォッチングになります。肩肘張らず、のんびりゆっくり歩いていろんなものを見て歩けば、それでOK。私のフィールドは近くの公園から原生林の中まで、様々です。今回は動物や鳥が残した痕を紹介しましょう。痕をよく見るといろんなことが想像できます。


シカの落とし角左の写真はフィールドウォーカーの勲章、エゾシカの落とし角です。あれだけたくさんのシカがいるにもかかわらず、なかなか見つけることが出来ません。シカの角はネズミやキツネなどいろんな動物のカルシウム源として、すぐになくなってしまいます。この角は根元に頭の毛が残っており、落ちてすぐのものです。角の先の方は木でこすったり、角突きが原因で白くなっています。上から二つ目の枝は先端が少し欠けていて、かつての持ち主の気性を偲ばせてくれます。

フクロウのペリット、白いものはネズミのあごの骨。右の写真はペリットという、フクロウ等が未消化物を吐き出したものです。内容物を調べると、何を食べたのかを知ることが出来ます。このペリットにはネズミの毛と骨が見られます。森の中で鳥の糞などが落ちている所があれば、よく近くに落ちています。時には数個まとまって落ちていることもあります。これは注意していると比較的簡単に見つけることが出来ます。


うさぎとキツネの足跡交差一番簡単に観察できるものは、やはり足跡でしょう。雪や泥の上に残された動物の足跡は動きが想像でき、楽しいものです。左の写真は左下からのエゾユキウサギの足跡と、右からのキタキツネの足跡が交差しています。先にキツネが歩いた後をウサギが一部トレースしています。食うものと食われるものが、全く同じ雪面を歩いたのです。一体、どれくらいの時間差があったのでしょう?ちなみにこの雪原は1mほどの深さがありました。この写真を撮った時は、スノーシューを履いていたにもかかわらず、ふわふわの雪に足を取られ、コケて泳ぎました。

シギかチドリの足跡右の写真は氷の解けた河原に残ったシギかチドリの足跡です。まだ寒さの残る中、餌を捜して泥をつつきながら移動したのでしょう。まっすぐに足跡がついていないことから、なかなか餌を見つけることが出来ず、うろうろしていたのでは、と想像されます。十勝ではいろんな動物の足跡が見られますが、羆の足跡だけはゴメンです。

キツツキの食堂北海道の森でよく目につくものは、キツツキの仲間が開けた穴でしょう。キツツキとはアカゲラ、クマゲラなど木をつつく鳥達の総称です。ノミで開けたようにきれいに穴が穿たれています。キツツキはものすごく長い舌をしていて、開けた穴に舌を入れ、中にいる甲虫の幼虫等を食べています。この木は朽ちて枝葉はありませんが、キツツキ達の食堂になっているようです。彼等の木に穴を穿つ様子はものすごく、見ているとこっちが脳震盪を起こしそうです。鳴き声に特徴があり、遠くからでもすぐにいることが分かります。声と木をつつく音は「アカゲラの営巣」でお聞き下さい。

ネズミの食痕シカ、ウサギ、ネズミたちの食痕も見つけやすい物です。この食痕は春先に撮影しました。高さが50cm程で、冬は雪の中に埋まっているはずです。にもかかわらず食べられたということは、雪中で活動するネズミの仕業と考えられます。噛った歯の大きさからもシカ、ウサギ、ネズミの区別が出来ます。最近はエゾシカが増えたため、食害が深刻化しています。

という風に、見たものをただ見るだけでなく、ちょっとした想像を付け加えると楽しみが広がります。しばらくその場に立ち止まり、その「痕」をじっくり観察してみましょう。これこそがフィールドウォッチングの醍醐味です。公園の小さな緑でも、必ず生き物は「痕」を残しています。

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