タロット占法について

まずは占う

 タロットカードの枚数は大アルカナ22枚+小アルカナ56枚。計78枚である。タロットで占いを行うには、これら78枚の意味するところを知り、習熟しなければならない。これがまた、途方も無く気の遠くなるような作業なのだ。何故ならこの作業は、タロットを扱うものとして生きる限りは、その生涯を通して行わなければならないものだからだ。
 タロットの解説書を見てみると、1枚のカードに対して数十個の意味が書かれている。少なく見積もって15個としても、15×78=1170もの意味を覚えなければならなくなる。では、苦労してでも1170の意味を覚えれば、それで終わりなのだろうか?
 甘い!
 我々が行う作業とは、解説書に書かれているタロットの意味を暗記することではなく、例えば分厚い国語辞典のア行の単語からワ行の単語までの全てを、タロット78枚のいずれかに割り当てていくような代物なのだ。勿論その国語辞典が終わったとしても作業は完了しない。次ぎから次ぎへとタロットへ割り当てるべき事象は湧いてくるのだ。こんな作業、一生涯かかっても終わるはずが無い!
 なので、カードの意味するところの学習は、タロットの使い手が今後ゆっくりと学んでいけば良い。
 占いを覚えたければ、カードを覚えるよりも、まずは解説書を片手にして占ってみることだ。

 タロットを用いる占いは、占い師各々によって多くの方法が実践されている。占う前の準備から、シャッフルの方法、スプレッドの仕方、リーディングに至るまで、10人の占い師がいれば、10様の仕方がある。
 占いに関する方法や手順は、占い師自身が最もしっくりくる方法を探すか、または開発する必要が出てくる。勿論その為には、既存の多くの方法を学び、実践検証を行う必要があるが、それは占いそのものを学ぶ過程なので、今は特に難しく考える必要も無いだろう。
 ここでは、タロット占いに関する初学者にもお勧めできる、簡単な占い手順を紹介しよう。

タロットの下準備

 購入後未使用のタロットや、誰からか譲られたタロットを使用する場合、占いを始める前に下準備となる儀式を行う場合が多い。
 タロットの浄化・聖別の儀式だ。
 浄化とは、それ以前にタロットについた塵情報をクリアしたり、前使用者の影響をノーマルにしたりする作業だ。オカルティズムな言い方をするなら、穢れを払う行為である。
 聖別は、見えざることを占うタロットに、そのエネルギーを充填すること、または他の世俗的なものと分け隔て、聖化することと考えれば良いだろう。
 これらの作業を行う時、人によっては特別な言葉や所作を用いる場合もあるし、人によっては簡単な手順で済ませる場合もある。勿論、人によってはそれらの儀式を省略する場合もあるが、それらも特に決まりごととして存在するものではないので、自由であると考えよう。

 ここでは、まず簡単な方法で浄化と聖別を済ませる。
 オカルト的な要素を少なくする場合、用意するものはやわらかい布(ガーゼなど)と蝋燭だけで十分である。浄化の方法は、カード一枚一枚をやわらかい布で優しく丹念に拭く。奇麗にするという行為そのものが、浄化のシステムとなる。聖別の方法は、蝋燭に火をつけ、その火の上方にカードを通すだけである。これは一枚一枚行いつつ、挨拶するような心持ちでカードに目を通す。聖別したカードは今後可能な限り特別扱いしなければならない。そのカード専用の丈夫な箱や、奇麗な布袋に入れて保管しよう。

 さて、何故タロットを扱う前に、このような手間を掛けなければいけないのだろうか?
 その答えを知らなければ、どのような小難しい儀式を行ったとしても満足な効果は得られないだろう。
 浄化や聖別といった行為が影響を与えるのは、必ずしもタロットカードばかりではない。これらは、その儀式を行った本人、カードを扱う本人にも影響を及ぼすのである。
 浄化や聖別の儀式は、カードに施されると同時に、自分自身にも施される。そうすることによってカードを扱うものは、占いを行うのに邪魔な雑念や私感情を退け、占いを行うのに必要な意識や集中力、洞察力の向上を促すことが出来るのである。
 浄化や聖別の儀式が多種多様な理由はここにあると言って良いだろう。どのような儀式であっても、自分の意識を変化させることが出来ないのであれば、全く無駄なものになってしまう。逆に簡単な方法であっても、それによって自分の意識を大きく変化させることができるのであれば、充分に効果的である言える。

 更に集中力を高めたいと思うのであれば、少し目を閉じて瞑想などをしても良いだろう。その際は呼吸に意識を置くと効果的である。
四つ数字を数えながら苦しくならない程度に息を吐く。息を止め四つ数える。四つ数えながら息を吸う。息を止め四つ数を数える。これを繰り返すと良い。決して苦しくならないように、楽に呼吸をする。しだいにリズムが安定し、そのリズムの安定が精神の安定を促す。

占いの準備

 さて、タロットカードの前準備と、自分自身の前準備が終わったところで、早速占いを行う手順に入ろう。
 まず、手を洗う。カードは傷みやすい。今後長く付き合っていくものだから、丁寧に扱っていこう。
 カードを並び替える。新しい占いを始める度にカードの順番をリセットすると、以前の占いの影響を無くすことができる。簡易的な浄化のようなものだと考えれば良いだろう。又、前の占いと同じカードが出ないようにする工夫でもある。
 カードの並べ方は各占い師によって若干差異はある物の、大体トップから大アルカナを順番に並べ、小アルカナを棒・聖杯・剣・貨幣の順で数は小さい順に並べるのが一般的である。この順番を並び替える行為は、中々集中力が要るもので、占う前の精神集中の役割も果たしている。

 シャッフル。今回は誰を占うにしても、シャッフルは占い師本人が行うものとしよう。馴れてきたらクライアントにシャッフルさせても良いが、一通りの手順が自分の手に染み込むまでは、自分の手で行いたい。
 まず、現在・未来のことを占い場合は、机の上で時計回りにシャッフルを行う。タロット78枚全てを使う場合かなり場所を取るはずなので、慎重に且つ良く混ざるように丹念にシャッフルしよう。過去のことや隠された心の問題を占う場合は反時計回りにシャッフルする。
よく混ざったと思ったら、78枚のカードをまとめ、手に持ってシャッフルする。
そしてカット。カードを3つのパイルに分ける。そして順番が同じにならないように重ね合わせる。

 シャッフルやカットに関しては、色々と工夫が出来る。
 例えば、テーブルに広げて掻き混ぜるシャッフルの方法に関して、時計回りを現在・未来、反時計回りを過去・心理としたように、シャッフルの仕方やカットの仕方に意味を加えることが出来るのである。
 私が手に持ってシャッフルする時は、黄道12宮サインに習い12回だけである。
 カットの時は、三つのパイルを過去・現在・未来に分け、占う主題の時間をトップに持ってくる重ね方をする。
 占う相手にカードをシャッフルさせ、その様子を観察することで、相手が占いについて協力的か否定的かを探ることも出来る。
 これらの工夫は、簡単な手順に馴れてきた段階から、徐々に試してみると良いだろう。

さて、何はともあれ占いの準備は終わった。早速次項から占いに入ろう。

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