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【運命の輪】

名称 『ホイール オブ フォーチューン』
    『WHEEL of FORTUNE』 『運命の輪』

主キーワード 転機・循環・輪廻・環(輪)・運命
          影響力・幸運・変化・波

『真っ直ぐ一本道が伸びている。素直に進むと、何故か元の場所に戻っている。道をそれてみる。奈落の底に落ちる。気が付くと、また一本道。進むと、また同じ場所。さて困った。一体ここは何処だ?

 ナンバー『]』を割り当てられるこのカードは、【運命の女神が微笑んだ幸福の道筋】【出口の無いメビウスの輪】【浮きつ沈みつする、大洋の航海】【永遠に回転を繰り返す、時計の針】【クルクル廻る太陽系】【車を目的地まで運んでくれる車輪】 それらは全て、正しく【運命の輪】である。
 さて【運命の輪】は、物事や人物の性質を表わす、場面と状況と環境を表わす性質が強い。
 特にこのカードは、実際の占断においても、かなり強力な意味を持つと言って良いだろう。誰にでも普遍的な影響を与える運命の影を見ることが出来る。勿論、このカードが出現していなくても、運命は影響しているが、このカードが出現する際の【運命の勢力】はかなり強力である。大きな強制力が、その人の人生に影響を与え始め、変化を起こす。どのような変化であるかは、【運命の輪】の周囲に出現したカードからも読み取ることになる。
 【運命】とは、個人が送る【人生のベクトル】を操作する【影響力】である。その影響力は吉凶大小様々である。【運命】は【時間軸】の背景にあって、決して逃れることは出来ない。白いキャンパス無くして絵が描けないように、空間の下地無くして存在がありえないように。個人は【運命の影響力】に従うことも、逆らうことも出来るが、影響力を完全に断つ事は勿論出来ない。
 個人(存在)も、【運命】に対して影響力を与える。【運命の影響力】とは、概して過去に蓄積された、個人(存在)が発した影響力そのものであって、【原因】による【結果】は決して狂うことが無い。
 【運命】とは即ち【因果律】の表れなのである。

示唆 運命の勢力・強い影響力・因果律

 さて今回の解説も、【恋人達】と同様に、多少工夫してみよう。

 運命の道筋(人生の背景)
 【月日が巡る】と言う表現がある。時間軸を見れば、それは未来に向かって一直線に進んでいる様子であるが、【巡る】とは【回転】を示唆する表現である。
 人は意識的にか無意識的にか、【時間】の持つ複数の側面に気が付いている。【時間】は一直線に進む性質がある。【光陰、矢の如し】を言うように、【時】は矢を放ったような勢いで、未来へと進んでいく。しかし、長い人類の歴史を見れば気が付くように、同じような事柄が、ある一定の周期性を持って起こる。人は【運命は繰り返す】と言う。【時】は、一本の線で繋がった【輪】のような側面も持っている。【時】には【永遠】と言う概念がある。しかし【時】を計ると言う観点から見れば、【始まりの時】と【終りの時】と言う二つの観念も存在しなければならない。【時】は【永遠】と【始まり】と【終り】の側面をも持つ。

示唆 直進・前進力・繰り返し・循環・永遠・スタート・タイムリミット

 現代に置いて時間を計るのは、12進数の時の計測器【時計】である。アナログの時計を見ても分かるように、それは12の数字盤を回転する針によって計測され、それから【時】の【輪】の性質をうかがうことが出来る。
 時を古くすると、漏刻や砂時計と言った、一定の方向にのみ流れる【時】の計測器が見られる。これらからは【時】の【直線】の性質をうかがうことが出来る。
 この二つの性質は、相反する物だろうか? 実は違う。この二つは、【時】の見る角度によって異なった、同じ存在なのである。
 【時】とは螺旋(スパイラル)なのである。【時】の【直線】としての性質も、実は良く見れば【振動(振幅)】であることが分かる。【運命】も同様な性質を持ち、それはスパイラルなのである。
 【時】と【運命】は、【直線には進まない】【全く同じ事を繰り返しもしない】
 【時】と【運命】は、スパイラルを繰り返し、【同じ様なこと(似ているが異なるもの)】を行いつつ、常に別の場所に移動している。
これを大雑把に見てしまった時、【時】と【運命】が【直線】に見えたり、【輪】に見えたりするのである。

示唆 振幅・波・スパイラル・同じような(似ている)事柄・恒常的変化

 では【運命の勢力】とは、一体何のことだろうか?
 それは、【原因】が【結果】に及ぼす【影響力】の事である。
 ガラスの瓶を、高い場所から落としたとしよう。恐らく落ちたガラス瓶は割れるはずである。落とすと言う【原因】は、割れると言う【結果】に大きな強制力を与える。落とした瞬間、その瓶が割れるのは【運命】であると言えよう。
 しかし割れなかったとしたらどうだろう? 何の理由も無しに【割れない】と言う事態が発生してしまったら【因果律】が狂ってしまう。しかしその様な事は、少なくともこの顕現世界に置いてはあり得ない。
 割れないのには、それなりの【理由(原因)】が存在することになる。地面に柔らかいクッションを置いていたのかもしれない。ガラスの瓶が、強化ガラスで作られていたのかもしれない。落とした高さが、それ程高くなかったのかもしれない。いずれにせよ、【落とす】と言う、割れる【原因】に対して、割れない【原因】が存在しているのである。
 一つの【結果】に対して、【結果】に影響を与える【原因】が一つであるとは限らない。勿論一つの【原因】に対して、【結果】が一つであるとも限らない。
 我々が俗に言う【運命】とは、スパイラルの性質を持つ【時間】によって複雑に絡まりあった【原因】から、当然の如く導き出される【結果】のことなのである。それは決して【運命の輪】を回すクランクを握る『女神』の仕業ではないのである。(運命の女神が実在しない、と言う意味ではない)

示唆 【運命】とは、原因と結果の関係(因果律)の産物である
     【運命】に影響を与える為には、【原因】を作り出さなければならない
     【運命】を変えるとは、既存の【原因】に対して新たな【原因】を付加する作業である

 では【運命の輪】のカードが示唆するものは、一体何だろうか?
 カードを見てみると、不可思議な円盤が回転しているのが見える。この円盤は、宇宙の抽象的な模型【曼荼羅】である。顕現世界は、この円盤が示すように理路整然として【因果律】によって運営されている。円盤に描きこまれた図形や文字は、宇宙の機構を示している。(詳細はBタイプ解説で行う)
 円盤の淵に沿って回転している蛇や、獣の頭をした怪物は、その運命の輪に沿って浮き沈みを繰り返す存在だ。蛇は一見、蠕動して動いているように見えるが、実は螺旋を描いて進んでいる。蛇は【運命の輪】に巻き込まれていたとしても、同じ所に留まることなく、確実に前進している。進化しているのだ。しかし、獣の頭をした怪物は、単に【輪】の運動に巻き込まれているだけである。我々は、【運命の輪】の淵を回りながら、常に二つの態度を持っている事が分かる。片方は自分の意志で前進し、片方は運命に支配されて、強制的に移動させられる。
 人生において、自分の主体性を【運命】の上に置くか、【運命】の下に置くかは、その二つの態度によって異なるのだ。
 【運命の輪】のカードが良い意味で出現した時、それは吉兆である。【過去】に良き未来を創造できる【原因】があり、まもなくその【結果】が返ってくることが分かる。主体性を持って行動していればいるほど、【運命】の反応は顕著になる。積み重ねたことは、ここで返って来る。しかし【運命の輪】が悪い意味で出現した時、その人は【運命の歯車】に巻き込まれ、引きずられ、自分が望みもしなかった結果を突き付けられる。

示唆 主体性上位・運命上位因果応報・宇宙の縮図・理路整然とした機構

 カードには、剣を携えたスフィンクスが描かれている。これは【運命の輪】の監視人である。我々は【運命の輪】を一周する毎に、彼から報酬と報いを受けなければいけない。【運命の輪】のカードが出現すると言うことは、彼の前を通過すると言うことである。
 基本的に【運命の輪】のカードは【大いなる吉兆】のカードだが、必ずしも良き報いを受けることが出きるとは限らない。
 稀に【運命の輪】から離脱する存在も現れる。運命の螺旋を進む中で、一定の条件を果たした場合、スフィンクスに【輪】から離脱する許可を得られることがある。これを俗に【解脱】と言う。【輪】の周囲を取り囲む四聖獣は、四大の現れであると同時に、【運命の勢力】の圏内から離脱した存在をも意味している。【運命の輪】から離脱した時、そこは純粋な意志の世界である。勝手に物事が進むような事は無い。自分の意志することだけが、変化を起こす理由となる。
 普段の生活の中でも、そのようなことは稀に起こる。本来の【運命の流れ】から離脱してしまい、良くも悪くも【影響力】を受けなくなる。そうなった時、全ては個人の行動意志に任せられるのだ。

示唆 大いなる吉兆・報酬・報い・運命の勢力からの離脱

 このカードが出た時、まず何かしらの結果が手元に届くだろう。それは一つのゴールのようなものである。しかし、同時にそれはスタートと見なされる。【結果】が新しき【原因】となって、再び大きな【運命の輪】に巻き込まれる前兆である。これから起こる出来事は、後々に大きな影響を及ぼす。クライアントは、強い心構えが要求されると言って良いだろう。

  人間関係
 大きな変動がある。大体は良き出会いであることが多い。同じ【運命の勢力】に身を置く存在である可能性が高いので、お互いがお互いを良く観察することが望ましい。
 新しい人間関係は、新しい事態を招く。既存の人間関係であっても、今までとはまた違った局面を迎え、それは後々に大きな影響を及ぼすものである。
 恋愛
 運命の相手との出会いがある。同じ【運命の勢力】に関わり、末永く連れ添うパートナーである場合が多い。
 また、個人の人生に置いて、重要な意味のある恋愛を示す場合もある。
 仕事関係
 職場環境が大きく変わる可能性が高い。転職・転勤・出世・降格など。
 職場自体が大きな変動を起こす可能性も高い。個人にとって、その職場や会社などは、大きな【運命の勢力】に他ならない。良く出れば社運は上向き、悪く出れば社運は傾く。その変化は、個人に大きな影響を与える。
 個人的な転機でもある。新しい【運命の輪】を選択することが出来るが、選択したら引き返すことは不可能。
 金銭面・ギャンブル面
 大きな幸運に恵まれるか、大きな不運に苛まされるか。継続的な上昇運に恵まれるか、継続的な下降運に悩まされるか。
 健康面
 良く出た場合は、バランスの取れた生活を送ることが出来る。悪く出ると生活パターンが崩れ、それを原因とした不調が続く。

 【運命の輪】のカードは、一般的に知られている以上に意味深い。これまで解説してきた内容は、ほんの一部と言えよう。深めたい場合は、各自で研究をする必要がある。

 精神性や将来などの希望に論点を置く場合は、運命が動き出す瞬間や、人生の蓄積が形になって現れる瞬間を示唆する。社会性など実質的な問題に論点を置く場合は、環境の変化や大きなチャンス、個人に大きな影響力を持つプロジェクトなどを示唆する。
 正位置の場合、主体性上位による吉兆。逆位置の場合は、運命上位による波瀾を示唆する。