阿寒の近くの
国道を走っていた時、道端で草を食む鹿を見かけました。望遠レンズをカメラにセットしてファインダーを覗いていると、後ろに動物の気配を感じまし
た。振り向くと、このキタキツネが手の届きそうな所にいました。あまりに 近すぎてピントが合いません。私が距離を取ろうと後ずさりすると、彼
(彼女?)は前進してきます。人を恐れる様子など微塵もありません。 彼らのお目当ては観光客の投げ与えるお菓子や弁当です。通りすがりの
観光客はあまりの可愛さについつい物を与えてしまいます。
阿寒などの 観光地だけでなく、北海道の最高峰、旭岳の登山道でもこのとおりです。 湖や川で釣りをする時、バッグの中に食べ物を入れておくことも、彼らに餌を与えるようなものです。私がキタキツネに持って行かれたオニギリやサ
ンドイッチの数を、ここで書くのはあまりに情けないので、ご勘弁下さい。 彼らのおかげで何度すきっ腹をかかえてロッドを振り続けたことでしょう・・・・。
大雪山国立公園内を走って いるとよくこんな看板を見掛けます。キツネに餌をやって何が悪い。むこうも欲しがっているし、
こっちもやりたいんだからいいじゃないか?」とお考えになるでしょうか。
しかし、この看板は地元の切実なお願いなのです。
看板の下をご覧ください。エキノコックスという文字がかろうじて読み取
れます。これは動物に寄生する条虫で、ネズミが中間宿主になっており、
糞便に含まれた卵を他の動物が摂取すると、内臓(特に肝臓)で孵化し、
その臓器がやられてしまいます。キツネが人に近づき過ぎるとエキノコック
スが広がる可能性が高まります。事実、'98年道内の動物園で餌の柳の木に付いていた卵から感染し、エキノコックス症で猿が数匹死んでしまいました。
十勝ではこんな看板もよくあります。知床では遊歩道でヒグマに餌を与えた観光客がいました。その人にとっても非常に危険な自殺に近い行為でしたが、私にはそのヒグマにも地元の人達にも不幸な未来が予想されます。餌をもらったヒグマは人の近くにやってくることを覚えてしまいます。危険な猛獣であるヒグマは人里に降りて来ると駆除の対象になってしまいます。
野生の動物達と付き合うには、人と彼らの距離をしっかりと把握しなければお互い不幸になってしまいます。彼らは自力で自然の中の食べ物を探すべきで、可愛いから、等という安易な衝動で餌を与えるのは愚者の行為です。
もっとも、彼らを育む豊かな自然がしっかりと守られていての話ですが・・・・。
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花鳥魚月 |
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