十勝川。皆さんにとってこの川のイメージはどの様なものでしょう? 広大な十勝平野を蛇行する野生の大河、でしょうか? 公共事業=河川改修(改悪)の等式が成り立つのは十勝川も例外ではありません。年々ダメージが蓄積されつつあり、川底の砂利が砂泥に埋められつつあります。また河原の公園化も必要以上に行われ、そこに来る人の出すごみの量は信じ難いものがあります。わざわざ車でやって来て産業廃棄物などを棄てていく輩に至っては、言葉もありません。

フライのリーダー、ルアーのパッケージ、ミミズの容器等のごみも多く、この種のごみを見るのが辛い釣り人は私だけではないでしょう。 自分の趣味の場を汚す行為は「天に唾」「チェストハイで放屁」 必ず自分に跳ね返って来るはずです。

もはや「野生の大河」は存在しません。悲しいかな「瀕死の大河」 と言わざるを得ません。その河の中で自然の節理に従って生きている魚達。私の相手をしてくれる魚達を紹介します。

(写真をクリックすると全身の画像になります)


イトウイトウ

絶滅が危惧される十勝川の野生。C&R(キャッチアンドリリース) が徹底されないと、(注)朱鷺の様にいなくなってその存在を確認する間抜けなことになるかも知れない。河川湖沼は広大な海に比べて再生産力がはるかに乏しい。せめて私達が河川湖沼での釣りをスポーツと割り切ってC &Rに徹し、次代にこの魚を野生の状態で残すべきである


虹鱒ニジマス

放流された魚が成長、自然繁殖し、十勝川の太い流れに鍛えられ#8ロッドをバットから絞り込む。十勝川の虹鱒は尾の付け根が太く、ラインの出て行くスピードが違う。 この魚の引きを味わい、ジャンプに息を呑み、尽きる事のない闘志を見せつけられると、完全に虹鱒病に冒されてしまう。 かく言う私は立派な重症患者である。


アメマスアメマス

Whitespotted Char (白点岩魚) この英名が表わすとおり白い斑点が体側に広がる。引きが今ひとつ他のアブラビレ達に劣るため 北海道の釣り人には馬鹿にされている。しかし、氷の流れる厳冬期の川でフライに反応する生命力は神秘に満ちており、その生態も謎だらけである。海で大きく育った彼等の顔は、陸封イワナに比べ愛嬌があったり、憂いを含んでいたり、のんびりしていたりと精悍さはない、が私は大好きである。

アメマスの背中背中

側面の白点からは想像もつかない背中の複雑な模様。側面の白点と背中の流れ模様はどのアメマスにも見られるが、一匹づつ微妙に異なっており、背中まで白点がある個体もいる。体色も青っぽい色、茶色っぽい色、紫がかった色、時には金色に輝く時もあり、残念ながら写真では表現しきれない。上の写真のアメマスは体色が青っぽく、頭の後ろに金色の部分がある。奇麗に撮れた珍しい例。


サクラサクラマス

この魚体を見てあのかわいいヤマメと同じ魚とは思えない。「よしっ、貰った!」 と思った魚が急にフッと軽くなってしまい、空しくフライだけが帰って来る。 あまりに速い疾走のため口切れが起こりやすい魚である。十勝では糠平湖などの湖で釣ることが出来る。


ブラウンブラウントラウト

もちろん虹鱒同様、十勝川には本来いない魚。何年も前に放流されたブラウンの末裔が、時々私のロッドを曲げてくれる。憧れは糠平湖のモンスター ブラウン。ヘッドアンドテイルでライズした時、見せつけられたあの団扇の様な尾鰭が網膜に焼き付いて離れない。通えども通えども、あの尾鰭の持ち主は、なかなかその顔を見せてくれない。今もあの湖水のどこかに奴はいる!


コーホー銀鮭

銀鮭、シルバーサーモン、コーホー等といろんな名前で呼ばれている。十勝管内では一部の川と湖で放流されている。阿寒湖には特にたくさん放流されていて、私達を楽しませてくれる。朝もやのたなびく湖面を眺めながらリトリーブするラインをひったくるように持っていく。はっと我にかえり、アワセをくれると右に左に狂った様に走る。彼等のスピードには虹鱒もびっくり。


岩魚エゾイワナ

アメマスとそっくり。それもそのはず、ほんのわずかな偶然で発育がよかった個体はイワナとして川に残った。生存競争のスタートで敗れた彼等の仲間は海へと下り、アメマスとなった。 アメマス達と違い、条件がより厳しい川での生活を続ける彼等。 しかし、その表情に暗さ、険しさは無く、ひたすらおおらかである。真夏の渓で、何の疑いもなくフライを捕らえてくれる。


オショロコマオショロコマ

エゾイワナより小さい斑点の中に朱点がちりばめられ、一味違った趣がある。イワナより深い山奥の渓流に住み、低い水温を好む。上顎がイワナより覆い被さっているというが個体差が はげしく、一概には言えない。フライへの反応はイワナそっくり。フライを飛び越してしまったり、ドラグの掛かったフライにも飛びつく。釣った後に早く水に戻してやりたい魚である。


ヤマメヤマメ

体側にきれいなパーマークがあり、イワナやオショロコマよりスピードがある。フライへの反応も素早く、完璧なデッドドリフトを要求される魚である。掛かった瞬間から一ヶ所でくねるような引きをするので、すぐにヤマメと分る。北海道には新子釣りなるヤマメの一年魚の大量虐殺があり、見ていて胸が痛む。もう二年もすれば立派なファイターになってくれるのに・・・。


ホウライマス

2000年9月に初めて釣った魚である。掛けてからの走りや引きはニジマスそっくり。体に斑点が一切なく、ちょっと緑がかった体色にレッドバンドがある。 愛知県の鳳来(ホウライ)養鱒場でニジマスの突然変異として見つかり、固定化されたため、この名がついている。


(注) 朱鷺は現在一羽が生きていますが、私は一羽を絶滅と解釈しています。優優は中国の朱鷺ですし・・・。(イトウに戻る)


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