動物園にて

猿山の様子孤独なチンパンジー私の家は帯広動物園に近く、白熊の声だと思うのですが、夜中にものすごい咆哮が聞こえるくらいの距離にあります。年に何度かは行くのですが、無条件で楽しいものです。象の前でボーと座って眺めているのも良いし、猿山の様子を観察するのもいいものです。チンパンジーはストレスのため、自分のウ*チを投げつけてくるのでちょっとかわいそうです。

ただ、フライをやる人間にとって動物園では、視線が違っていて目の毒が多い所です。ルリコンゴウインコを見るとテイル、ウイング、フェザーに目が釘付けになります。孔雀を見ればスウォード、ブレストフェザー、コンドルを見ればクイルに目が行きます。白熊など、プールに浮いている抜けた毛を集めたら「何本のアクアマリンが出来るだろう」等とすぐに貧乏人根性丸出しで見てしまいます。


ルリコンゴウインコ最初の頃、私はフライを作るのに執拗な迄にオリジナルのパターンを再現する事にこだわっていました。どれがオリジナルか分白熊からない場合は一番古いと思われるパターンを再現しました。なるべく作者の創造した当時の姿を再現し、その美しいフライで美しい魚を釣りたいと思ったのです。自動的に、人工的なマテリアルを多く使ったパターンは好きになれませんでした。機能的で安くつき、作るのも比較的楽なのは分かっているのですが「昔のフライフィッシャーマンはこんな物を使っただろうか?」と考えると積極的には作りませんでした。ロッドもラインも当時とは全く違った物を使っていながら、フライにだけ当時を求めていたのです。

考えてみれば、フライのマテリアルは動物、鳥の死体無しには成り立ちません。フライがイギリ孔雀スからアメリカに伝わった時、アメリカ人は身近にあったマテリアルでアメリカ大陸に適したフライを作り出し、アメリカンパターンと呼ばれるフライのジャンルを確立しました。数が少なくなって、ワシントン条約で取り引きも禁止されている動物を使ってまで、オリジナルを追求する意味があるのか?と考えれば、答えは出ました。最近は、完全に鳥や動物を使わない十勝川パターンを自分なりに作ったり、手に入りやすいマテリアルで出来るフライをなるべく多く作る様にはなりました。


しかし・・・。フライには5つの要素があると思うのです。サーモン、ウェットフライ


@キャスティングというスポーツ
Aフィッシングという狩漁
B水生昆虫、フライフィッシングを研究する学問
Cタイイング(ドレッシング)という芸術
D自然の中でのいろんな物との邂逅

私はこの5つの要素のうち、どれかが欠けるとフライフィッシングの魅力がなくなってしまうと思うので、Cを捨て難いのです。


供養塔キャッチアンドリリース等ときれいごとを口にしながら、動物や鳥の死体で嬉々としてフライを作っている自分に、内心忸怩たるものがあります。しかし、美しいサーモンフライやウェットフライはドレッシングの腕を磨くのに適していますし、私は根本的に「作る」や「創る」という作業が好きなのです。腹の底から出るため息と共にヘッドセメントを着け終わった出来の良い入魂の1本は、50cmオーバーのトラウトに匹敵する満足感を与えてくれます。

矛盾と葛藤はしばらく続きました。しかし、最近になってようやくひとつの答えらしきものが見えて来ました。「そうもくきんじゅうさがんくよう」と読みます。草、木、鳥、獣、砂、岩と生物だけでなくすべてのものにも供養の気持ちを持つことです。自然に対して何らかのインパクトを与えないと生活がなりたちません。そういう状態でも「自然に対して最もローインパクトであることを目指す」これが真のフライフィッシャーマンであり、ナチュラリストではないでしょうか?

熊谷温泉

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