百名山と獺祭(だっさい)

多くの株の中で、珍しくピンクの花をつけたキバナシャクナゲ。大雪山にて。深田久弥の日本百名山が中高年の間で脚光を浴びており、山は中高年パワー全開の昨今です。北海道には百名山のうち九座があり、十勝付近には旭岳、トムラウシ、十勝岳、阿寒岳があります。
高山植物の撮影などで中腹まで登った時、仰ぎ見る頂上は本当に魅力的で、もう一人の私が「登ってみろ」と耳元で囁きます。しかし、私は意識してなるべく山に近づかないようにしています。この性格では間違いなく山の魅力の虜になり、またもって生まれた方向音痴のため、確実に遭難する自信があるからです。
北海道の最高峰旭岳

百名山に登る一部の人々は、頂上で百名山リストにチェックマークを入れることに心を奪われ、本当に山を楽しんでいないのではないか、との指摘があります。
数の呪縛に囚われ、自然と親しむ余裕もなく、スタンプラリーのようにチェックマークの数が目的になってしまっている人です。私は山男ではありませんが、自然と親しむ一野人として、そのような登山は本来の姿ではないと思っています。

王子動物園のかわうそ。キツネ大好きコンスキーさん提供です。かつてカワウソ(獺)は食べるためではなく、楽しみのために魚を捕り、それを並べて眺めたとの言い伝えがあります。その様子を獺祭(だっさい)といいます。そのカワウソも人に獲物として並べられ、今の日本では幻の存在になっています。
釣果にこだわる我々釣り人もカワウソと同様でしょう。切手のコレクションのように、元々集めることが目的であれば別ですが「モノを並べてそれを楽しむ」ことは過ぎると本来の目的が何であったのかを忘れてしまいます。

私の大型ウェットフライ用ボックス私のフライフィッシングは自然と遊ぶための方便であり、いわば登山の様なものです。そのため、釣れないのは全く平気でした。川を溯り、風景を眺め、自然の移り変わりをフィールドウォーカーとして楽しむ余裕がありました。万年坊主のハンドルの由来です。
しかし、最近ホームページを持つようになり、’99年4月から釣行記なるものを作り始めると、釣果を気にする自分を顧みて、顔がカワウソになっていないか心配になってきました。釣果のための無理な釣行をしていないだろうか? 以前なら、竿を畳んでいた頃合いを過ぎても、振っていないだろうか?
フライボックスに空きがあると不安になり、せっせとフライを巻くタイプのフライフィッシャーマンである私には、モノを並べないと気が済まない一部の登山者やカワウソになりうる資質があります。
胆に銘じておかなければ・・・・。


三枚目のカワウソの画像はキツネ大好きコンスキーさんからいただきました。コンスキーさんのサイトはチロヌップです。

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