’09年3月4日 十勝川






「川が開いた」と言っても本州の方々は何のことかよく解らないだろうと思う。十勝川の場合、流れの緩やかな所は完全に結氷して、水面がなくなる。その氷が落ちて釣りが出来る状態になることを「川が開く」と言う。2日前にその情報を得て、そろそろ行ってみようかと思っていた。私は3月になると休みが少し多くなるので、ウィークディに釣りをすることが出来る。

午前中、歯医者の予約があったので、出発したのは12時過ぎ・・・釣り場に着いてびっくりした。何と車が6台も止まっている。「平日に休みの人ってけっこういるんだな〜」と思いながら準備をする。雪のない時なら車を横付けして即釣り場だが、今は積もった雪のため車で入ることは出来ない。ここからテクテクと歩かなければならない。まあ、天気は快晴、風はほとんどなく、気温はプラスと条件は良い。

最近、私は弁慶である。何のことかと言うと、なるべく考えられる装備(七つ道具)をしっかり持って釣り場に行くからである。川の中で、あのタックルでやれば良かった、などと後悔するのが嫌なので、いつもちょっと多めの道具を担いで、ヨタヨタと行く。今日もロッドを3本担ぎ、それに合わせた番手のリール、違うシンックレートを巻いた替えスプール、飲み物や軽食を詰めたパンパンのバッグを持って、川まで歩いた。雪でぐちゃぐちゃの踏み跡を、足元を見つめながら歩く。車で行けばほんの数分の距離でも、雪の中を歩くのはけっこうきつい。

しかし、短いコンパスでもそれを前後に動かせば、釣り場には着くものだ。

川を見ると、上流部で工事をしているため、すごい濁りが入っている。しかし、ちょっと立ち込むと濁りの少ない部分に投げることが出来そうだ。6番9ftにするか8番9ft6inにするか8番13ftにするか・・・シングルハンドは距離的にはちょっと不利だが、私はダブルホールで投げるシングルも好きなので、条件さえ許せばよく使う。しかし、今日は強い濁りをクリアするために距離が欲しかったので、8番13ftのダブルにタイプ2のヘッドを装備して投げ始めた。フライはキールのアクアマリンをリードに、ドロッパーはミノータイプのストリーマーを3Xのティペットに。

一見、真っ平に見える流れであるが、ヨレのある所、ちょっと流れが変わっている所がある。そういう所の上流部に打ち込み、底を払うように流していく。ラインやフライが底に触れた感じがすると、ロッドティップを持ち上げて底を切る。

ここ、と思う所をいい感じでトレースしているのだが、全然反応がない。30分ほどした頃だろうか、グッと重くなったので、一呼吸入れてアワセを取る。と、ものすごい引きが伝わり、ロッドを立てられない。

これは引きがおかしいのですぐにスレと解った。
悪戦苦闘し、何とか岸に引きずり上げたアメマスは57cmだった。しかし、スレだったので、全然嬉しくない。

その後、40cm台後半のアメマスが来る。今度はちゃんと口にかけた。魚はいるようだが、どうも連発で来ない・・・。これは思ったより、沈みが遅いのかも知れない。魚がいる所ではまだ沈みきっておらず、活性の高くない魚の上をフライが通ってしまっているような気がした。顔の前にフライを通さないとダメなようなので、ラインをタイプ4に換えてやってみることにする。


ラインを換えたので、ちゃんと思った所を思った深さで流れてくれているようである。見えない水中のことなので、あくまで自己満足である。しかし、自信を持って流すか、これでいいのかと疑いながら流すかでは、気合の入り方が全然違うし、楽しさも違う。

また、ルアーの人達はプラグやスプーン、フライの人も大き目のストリーマーを使っていると思われるので、ヒネクレ者の私は10番のウェットフライにチェンジしてみた。リードにブラックジェイ、ドロッパーにダンケルド。ちょっと濁り気味だったので、リードはこのフライに任せてみることにした。

コツッとしたアタリの後、妙に走るな、と思ったらダンケルドにニジッコが来た。その後も立て続けに40台のアメマスが2匹連発でブラックジェイに。やはり、ラインチェンジとフライチェンジが良かったようである。


右からの風が少し出てきて投げ辛くなってきた。少し距離が落ちるが、まあ何とかなる。

フライを打ち込み、ドラグフリーで沈めて、ラインにテンションがかかり始めた時、ズズ〜ッと誰かに引っ張られるような重みがロッドに伝わって来た。アワセを取ると、首を振る感触が伝わる。これはちょっと大きいと思ったので、リールで対応する。

全然浮いて来ないし、時々ロッドをのされる重さがある。1月、似たような状況で強引に寄せようとしてバラシをやらかしているので、少々慎重にやり取りして、ネットに入れた。64cmのずっしりとした良型だった。リードのブラックジェイが口の角にしっかりかかっていて、フォーセップが必要なほどのいいフッキングだった。

その後、ダンケルドにもう一匹ニジッコを追加して納竿。七つ道具を担いで車までヨタヨタと戻る。



左の画像は今日のヒットフライ、ダンケルドとブラックジェイである。ダンケルドは昔からよく使っているフライだが、今日ブラックジェイを使ったのは、たまたまの思い付きからである。

これでブラックジェイもお気に入りのフライのひとつになったようだ。今後、バイスに向かった時によく巻くフライになるだろう。

ほんの3時間足らずの釣りだったが、オッサンの私にはちょうど良かった。天気もよく、魚もそれなりに釣れ、雪中行軍の筋トレも出来た。何より、今日の釣りは久々にキモを押さえることが出来たような気がすることが、すごく嬉しい。


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