毎年夏休みに行っている知床。今年は7月終わりに盲腸の手術をしたため、大事をとって取りやめにしていた。早い段階から計画を立ててあったので、それを相棒ひとりに実行させたのだが、爆釣の結果報告は…ひたすら悔しいだけのものだった。
やはり、年に一度は行って知床のオショロコマの顔を見ておきたい。そこで、9月半ばの連休を利用して楽しむことにした。14日の夜、相棒と私は約束のパーキングで落ち合い、いつものように車中泊。
明くる15日午前5時半、寒さで目が覚めた。軽く朝食を取り、装備を整えて午前6時過ぎに川に下りる。フライフィッシングの装備だけでなく、ヒグマ対策の装備もしっかりしてある。バッグに付けた馬鈴はリンリン、カウンターアソルトはいつでも噴射できる状態にしてある。
川はごらんのようにそれほど大きくはないが、オショロコマの密度の高さは相棒が8月に下調べ済みである。しかし、気温は一桁である。活性もそれほど高くないだろうと思ったが、ここと思うところに打ち込むとポンと出てくる。
やがて、陽が当たる所では積極的なチェイスも見られ、活性が上がってきたようである。小さなスポットでも出るし、大場所では二桁の数が出せる。
私は#10か#12の小さい目のウェット一本を結んでいた。相棒はドロッパーを付けてやっていたが、どうもドロッパーがある方がヒット率が高いようであった。ドロッパーに振り向いた魚がリードに喰らいつくせいか・・・それとも、アピール度が高いせいか・・・?
そこで私もいつもの組合わせのシルバーサルタンとロイヤルプロフェッサーのコンビでやってみる。シルバーサルタンはウィングをクロウで巻いた、こういう山の渓流専用のものである。魚たちはまだテレストリアルに意識があるのか、このコンビはワンキャストワンキャッチの連発であった。
しかし、ドロッパーに来られるとリリースする時、暴れてリードが絡まるので、そのうちシルバーサルタン一本に戻す。釣果は少し落ちるがそれでも十分に釣れる。
よく太った20cmほどのオショロが掛かると深みから引き上げる場合、結構引くので楽しめる。深みには尺クラスの大物もいるかと期待していたが、大きめのものでも25cmが限界のようである。大物は二本目の川で期待できるので、ここでは数を楽しむ。
暖かくなってくると、流芯では時折ヤマメも混じる。セミの声も聞こえ始めたので、気温は20度程度にはなっていただろう。この盛夏の渓流を釣っている雰囲気は、時間が一ヶ月戻ったような気がする。
ゆっくりとポイントをひとつづつ交互に釣り上がっているので、時間の割に距離が進まないが、時間はたっぷりあるので余裕の釣りである。
ちょっと違った角度から、相手の釣りを見ていると、ヒットの瞬間がはっきり見える。ほんの20cmほどの深さの所から、フライに飛び出して来るのが解る。後で、その場所を見に行ってみるとほんのわずかなえぐれがあり、そこに潜んでいたようである。まるで忍者ある。
遡っていくにつれて川の段差が激しくなり、魚の密度が落ちてくるが、段差の深み、ポケットなどに潜んでいるので、かえって場所が絞りやすくなる。
昼近くまで楽しく釣り上がり、今度は軽く釣り下っていく。遡る時、あまりしつこく攻めなかった所を重点的にやると、またポンポンと出てくる。
私はもう満腹状態になったので、後は相棒に任せて、花の画像などを撮りながらいっしょに下っていく。談笑しながら入渓した橋まで戻ると雨が降り出した。天気予報では30%の降水確率だったので、大丈夫だろうと思っていた。(これが実は大間違い)
次の予定の川まで、ほんの1kmほど移動して、昼食をとる頃には雨は止んでいた。さて、この川には去年目をつけていたポイントがあり、是非そこを集中的にやってみたいと思っていた。グッとえぐれた岩の深みがあり、緑色の水をたたえており、いかにも大物が潜んでいそうな所である。
しかし、橋から入渓し、川原についたとたんに雨が降り始めた。それほど激しい雨でもないので、予定の場所に移動しようとした瞬間、強烈なストロボを焚かれたような雷・・・一瞬後には割れるような雷鳴が響き渡り、雨もボトボトと音を立てて降ってきた。
二人で顔を見合わせ、無言のうちに車に戻る。その間にずぶ濡れになるほどの降り方であった。後で知ったのだが、大雨洪水警報が出ていたそうである。調子がよければ、もう一泊野宿をして、翌日も軽くやってみようかと思っていたが、これだけ降れば川も増水するだろう。たったの半日だけだったが、充分楽しく釣れたので、撤退することにした。
帰り道、アスファルトに打ちつける雨の様子は普通ではなく、道路の排水が追いついていない。視界が悪いので、路肩に車を停めて様子を見るが、いっこうに収まる様子がない。少し落ち着いた頃を見計らって進むが、降ったり止んだりの繰り返し・・・・今までに経験したことのない強烈な雨だった。
例の場所は次回知床釣行の宿題となった・・・きっと、尺ものが潜んでいることだろう。
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花鳥魚月 |
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