08年8月12日 13日 知床方面






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最近はすっかり源流釣行が多くなってしまい、釣果は釣行記にできるような大物が釣れる訳でもなく、風景も似たようなものばかりになってしまう。しかし、知床はやっぱりUPしないと・・・・。今年は面白い音を録音したので、それも聞いていただきたいと思う。

今年も11日夕方に帯広を出発。今年のペルセウス座流星群はちょっと厳しいかな〜、などと雲が流れる夜空を眺めて考えながら、東へと走る。それでも一応、赤道儀を積んではいる。

標津の近くに知床メロディロードと言うのがある。11日のうちに場所を確認してからテン場に行こうと思っていたら、場所を調べてプリントアウトした紙を忘れてきていた・・・。かすかな記憶を頼りに探すが、やっぱり見つからない。仕方なく家に電話して、家人に紙を見て教えてもらい、四苦八苦の末到着。場所を頭に叩き込んでテン場に急ぐ。

テン場に着くと何と先客がいる。もうここを野宿場所と決めてから7年になるが、他の人とぶつかったのは初めてである。夜も更けているし、エンジン音で迷惑をかけてはいけないと思い、昔テン場に使っていた所に移動。

空を確認するが、雲が流れていて、時々星が見える程度である。ペルセウス座流星群の撮影は諦めて、もうひとつの目的であるシマフクロウの鳴き声を録音する。聞ける年と全く聞けない年があるが、ここ3年ほど連続して聞いているので、期待していた。川の近くなので水音が入っているし、遠くで鳴いていたので、あまり鮮明ではないが音をちょっと加工してMP3にしてみた。  
シマフクロウの鳴き声 ボウ、ボ、ボウッとかろうじて聞き取れると思うが・・・。これでも2時間かけて何度か録音してその中でもましなものを選んだつもりだ。志向性の強いマイクを持って行ってちゃんと録音すれば良かったが、Dスナップで軽く録ったのでイマイチだった・・・。

録音が終わる頃になると何だか星空が少し鮮明になってきたように思えたので、カメラを出して固定撮影をしてみた。ここは大きめ道に近いので、時々通る車のヘッドライトが木々を照らすので、妙な色になっている。流星が写っているコマもあったが、輻射点がペルセウス座ではないゲリラ流星だった。結局寝たのは3時過ぎ。


ところが翌日、目が覚めたのは午前6時。特に睡眠不足だと感じなかったので、朝餌をかき込んで釣り場に向かう。

今年は文明の利器、車の12V電源で使えるポットを買ったので、運転席で湯を沸かしてコーヒーを飲んで、出発・・・と思いきやこれがとろい! 200ccを沸かすのに10分かかるので、ゆっくり川面を見て戻ってきて、ようやく目覚めの一杯が飲めた。大量に沸かすなら、やっぱりキャンプ用のストーブだが、コーヒー一杯程度なら、まあ許せる時間かも知れない。

今年は風があったので、去年や一昨年のような川面の霧はなかった。去年の経験から、入渓点に近い所は釣り荒れているのが解っていたので、最初の数ヶ所のポイントはサラッと流して進む。しかし、それでもポツポツと釣れてしまうから、荒れてはいても魚は濃い。


入渓点が遠のき、そろそろ気合を入れて流す所になった。去年、イケスを作って釣りまくった場所に差し掛かったので、じっくり腰をすえる。

底岩の深い裂け目が黒く見える。その中にオショロコマが潜んでいる。流芯ではヤマメの鋭いライズも見える。調子を見るためにドロッパーにグレートセッジの10番、リードに蜂系フライを結んでダウンクロスに流してみると、アクロスの最中に深みからドロッパーに飛びついて来た。軽くあわせるとコンとした手応えがくる。

「よしよし、これは型がいい。」とほくそえんでいたら、さらにコツンと重みが加わった。フライを捉えた魚を別の魚がチェイスすることは良くある。どうやらリードに別の魚が喰い付いたようだ。ロッドは2番の七半なので、流れの中で二匹に引かれると、ちょっときつい。すったもんだでようやく上げた。両方ともよく太っていて、最高のコンディションだ。この場所ではドロッパーは必要ない、と判断、ドロッパーをはずしてリードのみで釣る。同様にしてヤマメ、オショロコマを10匹ほど追加して別のポイントに・・・。


ここは私が勝手にオンコ下と名づけている所である。広い裂け目が川底にあり、そこに無数の良型のオショロコマがいる。

最初はダウンアンドアクロスをやってみるが、時々直前で引き返す魚影が見られる。そこで、流速よりちょっと遅めにフライを流してみるとワンキャストワンキャッチになった。

一通り釣って、川原で一本立てていると、意外な所で派手なスプラッシュが上がった。「あんな所にいるのか。」とロッドを手に這うようにして上流に回り込む。ストーキングを上手くやらないと魚を散らしながら釣りをやっていることになってしまうからだ。バックが取れない場所なので、ロールキャストでダウンクロスにフライを送り込む。ライズのあった所で、見事にヒット。

これはオショロコマと言うより、ゴールデンチャーとでも言った方が良いような、きれいな色の良型が出た。この釣行での最大の魚だった。



3時間ほどで何匹釣っただろう。車に戻って一休みしていると、睡魔が襲ってきた。腹が減ったら食い、眠くなったら寝る。これが知床釣行の根幹なので、さっさと一眠りする。気温は20度ほど、風が適度に吹くので少し窓を開けておけば、気持ち良い空気が通る。ちらちら揺れる木漏れ日を見ていると瞬間で寝入ってしまった。

昼前に目が覚めたので、今日のもうひとつの目的地に向かう。かなり戻ることになるが、ぜひ一度は確認しておきたいことがあった。


石城謙吉(いしがきけんきち)著の「イワナの謎を追う」と言う岩波新書の本がある。朱点のあるオショロコマと白点のあるアメマスの分布について書かれた部分があり、その分岐点になる川が「伊茶仁川」(いちゃにがわ)である。私はホームページでは十勝川や札内川のように大き目の川では名前は出すが、こういう小さい川は名を伏せるようにしている。しかし、ここは本当に小さな流れで、どういう釣り方であれ、ここに好んで入る人はいないだろうと思うので、名を出した。事実、藪沢大好き源流大好きの私ですら、ここでロッドを出すのを何度もためらった結果が今なのである。


流れの中に梅花藻が揺れる、幅2mもない小さな流れである。深い所でも膝程度、周りを木々が覆っていて、振り難いなどと言うものではない。藪沢用の4半グラス製超ショートロッドで、深みに上流からフライを送り込むと、すぐに反応があった。

ご覧のように白点のアメマス型である。数匹釣っても全部同じアメマス型の白点イワナだった。

イワナに興味のない人には関係のない小さな川だが、15年ほど前に本で読んで以来、ずっと気になっていた川だった。あの本に書かれている川で石城氏の釣った子孫を同様に釣ったのか、と思うと感慨一入だった。


さて、昨夜確認しておいた知床メロディロードはこの伊茶仁川の近くである。ト音記号の警戒標識などあっていいのだろうかと首を傾げながら、撮影する。

道路を見ると細い溝が一定間隔で刻まれており、60km/hで走るとタイヤノイズとして音階が出る。実際走ってみると、ちょっと調子はずれではあるが、ちゃんと聞こえる。エンジン音で聞き取り難いが・・・。 
知床メロディロード

しかし、後半の「思い出しておくれ」の部分は溝が乱れているのか、トンでもないことになっていた。いつも釣りばかりで素通りの場所を回るのが今年の目標だったが、これでひとつクリア。 

さて、午後はどうしようかと思案しながら、おにぎりをほおばる。以前、先行者がいて入れなかった川を重点的にやってみるかと思い立つ。あちらこちらと1時間ほどずつ釣って回る。どこでもそれなりに釣れるが、印象的な場所がなかなか見つからない。計3ヶ所を楽しんで本日納竿。まだ6時前でイブニングの楽しみがあったが、もうお腹一杯だった。

テン場に戻り、シャワーを浴びようと思ったら、ポンプがいかれている・・・。いつもは18Lのポリタンクから水を吸い上げ、軽く体を洗うのだが、今年はタオルを濡らして拭うだけで我慢だ。来年はポンプを新調しないと・・・。


天気はイマイチで、これでは今晩の星空は期待出来ない。今年、赤道儀はお荷物だったようだ。晩餌をかき込んであっさりと8時前には寝てしまった。昼間の疲れのせいかぐっすりと寝、5時前に少し寒くて目が覚めた。


車の外で深呼吸すると呼気が白い。温度計を見ると12度。本州の暑さと比べると別天地である。

ゆっくりと「餌」でなく、食事をし、コーヒーを飲む。去年のようにクソ暑くないので、虫が少ない。今年の虫刺されは4ヶ所だけだ。薬を塗り込み、しばらくボーッとすごす。

曇り空だが雨は大丈夫だろう。あと1ヶ所だけ、竿を出して楽しむことにしよう。


30匹ほどに相手をしてもらって、今年の知床釣行はお終い。虫刺されが2ヶ所追加された。




ウェーダーを脱いだら、以前から行きたかった浜小清水原生花園を目指す。ここは浜辺沿いにハマナスをはじめとする植物がそのままの姿で見られる。前に近くの以久科(いくしな)原生花園に行ったことがあるが、浜小清水も一度見たいと思っていた。

浜小清水駅前の駐車場に車を停めると、パラパラと雨が降り出したので、ビニール傘を準備、さらに少々肌寒いので、フリースを着る。一眼のレンズをマクロに換えてアングルファインダーもちゃんと装備する。

駅の踏切を越えると遊歩道が整備されていて、左右をハマナスに囲まれた道が続いている。あちらこちらで立ち止まっては写真を撮る。


おなじみのエゾカワラナデシコ、チシマフウロなど、自宅の庭でも栽培している花ではあるが、野生そのままで咲く様子は一味違う。これは旭岳でも感じたが、環境に適応した姿の違いか・・・?

遊歩道を浜辺まで追って行くと、こんな看板があった。鳴り砂がこんな所にあるとは知らなかった。その辺を歩き回ってみたが、わずかながら雨が降っていて湿度が高かったせいか、キュッキュッという音は聞こえなかった。

私の釣行では珍しいことだが、駅舎の隣のレストハウスなどもふらふらと見て周り、ここで3時間ほど楽しんだ。



今年の釣行は花鳥魚月、私の趣味の四本柱を一通りやったことになった。「鳥」はエゾライチョウの姿をかろうじて撮ったのと、シマフクロウの不鮮明な鳴き声だけだし、「月」は夜空の固定撮影だけだったが・・・。これからの釣行には、こういう釣り以外の部分が加味されていくような気がする。

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