’10年8月12日 知床釣行






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5日ほど前に生まれた台風4号が不気味な動きを続けていた。足が速まってくれて、北海道の南よりを通過してくれたら良いのだが、と切望的観測をしていたが、コースも時期も最悪の展開を見せていた。台風に刺激を受けた停滞前線がすでに雨を降らせている。さて、どうなる今年の知床釣行、と思われた。

しかし、恒例であり、夏の楽しみでもあるこの釣行ははずせない。ご覧のように準備万端整えて、12日の午前中なら釣りになり得ると思ったので、11日の午後8時半に道東自動車道帯広音更インターチェンジで、てつろうさんと待ち合わせて出発。この高速で足寄まで行くが、けっこう時間も距離も短縮できた。今年はナビも買ったので、最短距離を迷うことなく走れた。道中、ずっと雨が降り続いていたが、知床に近づくにつれて雨足が弱まってきている。



毎年車を停める野宿予定地に到着した頃には、ほとんど霧雨になっており、予想通り12日午前中なら釣りになりそうだ。11日夜(日付は変わっていたが)、車にセットした寝台で眠るが、周期的に強まる雨が車の屋根を叩く音に、時々目が覚めてしまう。あまり深くない睡眠だったが、午前4時半起床。てつろうさんの車をグラグラと揺すって、優しく起こしてあげる。

私はもうコーヒーとパンの朝食を済ませて、後は道具を身に着けるだけである。「ゆっくりでいいぞ。」と言いつつ、プレッシャーをかけて、急がせる。雨は霧雨と小雨の中間程度。今年は車二台で釣り場に向かい、一台を釣り終了予定地点に停めて、もう一台で入渓地点まで進む。この方法だと釣り終ってから、川の中や林道を延々歩いて戻る時間と体力がセーブできる。釣り下るので、上流部で車を降り、川を見る。

ここは私もまだ未探検の場所で、どういう流れになっているのか全然解っていない。この少し下流では何度か釣ったことがあるが、その場所の記憶を辿っても、ここまで水が多いことはなかっただろう。渡渉点に注意が必要だ。午前5時頃に入渓。


2番7ftのグラスロッド、その銘もオショロコマと付けた超スローアクションのオショロ専用ロッドである。リーダーは全長6ftほど、短いと思われるかも知れないが、こういう川でピンポイントで流すにはあまり長いリーダーは不向きである。ティペットは4X、リードに12番ジョンスペンサー、50cmほど間隔を取りドロッパーに10番オリジナルフライを結び、川に入る。

魚が釣れないかもしれない、と言う不安は全くなかった。入ってすぐに、最初の一匹がロッドをグニャリと曲げる。このサイズでも流れの中から寄せるとなると、かなり楽しい。リードを捉えたのは、上の写真の20cmほどのきれいなオショロコマだった。その後もここはいるな、と思う所では必ず良い反応がある。やがてリードとドロッパーの両方に掛かリ始めたので、ドロッパーをはずす。今年はヤマメがよく掛かり、最初のうち半分はヤマメだった。全体を通しても三分の一はヤマメだったと思う。水が多く流れが速いので、表層近くをヤマメが占領していたのかも知れない。そのため、通常のウェットを流すと、底近くにいるオショロより、ヤマメが先に反応したのだろう。


てつろうさんはまだビギナーなので、苦戦しているようだった。要所で短いアドバイスをしてあげると、ポツポツと釣れるようになってきた。一度にたくさんのことを教えるのではなく、ひとつクリアしたら別のひとつ、と少しずつ教える。後半にはけっこう釣れるようになっていた。

私は今日のヒットフライを探るべく、フライチェンジを繰り返す。最初の一時間ほどでその日のヒットフライを当てると、後が楽になる。水量が多いため、深みを流れるフライにアドバンテージがあるように思われた。そこで、イエローアンドパトリッジのビーズヘッドパターンを使ってみた。それまでもそれなりに釣れたが、このフライはかなり破壊力が違った。ワンキャストワンキャッチになる。流れる層の問題かと思い、別のビーズヘッドを試すとイマイチである。早速、てつろうさんにも一本分けてあげた。しかし、このパターン、二本しか巻いて来ていなかった。失くすわけにはいかない。
 
雨は降ったり止んだりを繰り返し、時々完全に止むこともあったが、レインギアは欠かせない。フードは雨足が強まると被ったが、ちょっとの雨だとご覧のようにはずしていた。というのは、フードを被ると音が聞こえにくくなるので、熊に対する警戒が弱まるためだ。この川で足跡、爪跡、糞を見かけたことはないが、注意を払っておくに越したことはない。もちろん腰には馬鈴があるし、カウンターアソルトもある。川には霧が立ち、すべてが濡れた世界になっている。気温は20度ほどだろうか、動いているとちょうど良い気温で、毎年悩まされる虫もほとんど見られない。


右肘の調子は大丈夫なようである。しかし、念のため右手ばかりでなく左手も使う。川の中から下流に向かって左岸を釣る時は左手、右岸の時は右手と、流しやすく、リーチが掛けやすい方の手で釣る。底が岩盤で所々えぐれが入っている場所では良型がバンバン釣れた。わずかな隙間にけっこうな数のオショロが入っているようだ。キリがないので適当な所で止めないと、終わらない。

やがて、ご覧の落ち込みが行く手を阻んだ。入った時からちょっと気になっていたが、川底の石が妙に滑るのである。てつろうさんは岸に登って藪をこぐが、私は川の中を下った。と、石を踏んだ足が滑り、片手を着いた。その時、右膝を打ってしまった。

単なる打撲だが、膝をつく度に痛むのには困った。車に戻ってから湿布を貼っておくと夕方には治る程度だったが、川底が滑る時はやはり注意しなければ・・・。


フライはこの場所ではこれ、といろいろ試したが、大き目のがいそうな所は今日のヒットフライ、イエローアンドパトリッジのビーズヘッドを使う。このフライ一本でいったい何十匹のオショロとヤマメを釣ったことだろう。ご覧のようにパトリッジのハックルは消え失せ、ファウンデーションのスレッドが出てしまっている。もはやフライと呼べない代物に成り下がっているが、威力は変わらなかった。流れる層とカラーがマッチしていたのだろう。

予定の場所まで釣り下り、時計を見ると9時過ぎ。たったの4時間だったが、楽しく遊べた。野宿場所に戻って、車で休む。腹が減ったら食べる、眠くなったら寝る、これが知床釣行の基本原則なので、私は軽く食事をして、グースカ眠りこけてしまった。起きた(起こされた)のが午後3時。

もし出来るなら夕方、毎年イブニングを楽しんでいる所をやってみたいと思っていた。この川に来て、この場所でロッドを振らなかったことはない所である。しかし、午後4時、その場所に着いて川を見て驚いた。川幅はいつもの倍、少し濁りが入って木の葉も流れている。これはいくらなんでも釣りにならない。台風が近づいているので、もうこれ以上いても意味がないと判断。帰路に着く。

結局、4時間の雨中の釣りのため、往復7時間をかけて車を走らせたことになる。無駄なと思われるかも知れないが、私にとっては全くその感覚はない。毎年グダグダ、ダラダラの知床釣行だが、今年のグダダラ度は今まででもトップレベルだった。つまり「最高級の釣行」だった、と言うことだ。



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