臼と杵で餅を搗こう

今どき、臼と杵で餅を搗く家庭はかなり少なくなっていると思います。行事などで搗くことはあるでしょうが、さて自分でやってみるとなると、けっこう難しいものです。これはうちのやり方ですが、臼と杵が手に入った方はご参考になさって下さい。

研ぐ、うるかす

前日に水に浸けておく米研ぎ

まず前日に、もち米を研ぎます。普通に炊くご飯のお米を研ぐ要領でOKです。研いだもち米を、一晩水に浸けて水分を吸わせます。(北海道弁ではこれをうるかすという) 

大き目の容器に前の晩から浸けて充分にうるかしておかないと、翌日の蒸かしが上手くいかず、また搗きも時間がかかるばかりで、いい餅になりません。しっかりとうるかしましょう。12時間程度を目安にすれば、OKでしょう。その年のもち米によって水の吸い具合が違ってきますが、それくらいうるかしておけば、蒸かしで調整できます。

 
(ふ)かす


セイロに入れて蒸す蒸かす前蒸かす前にざるで水気を切ります。水は滴らない程にしっかりと切ります。水気が多いと腰のないへニャ餅になってしまいます。腰のない餅は丸餅にしようとしてもなかなか盛り上がらず、ペタンとなってしまいます。うちでは、毎年20kgのもち米を約十臼に分けます。本当はもっと臼数を少なく出来るのですが、少な目の方が蒸き上がりも早く、回転良く搗け、結局良い餅が搗けるからです。いずれにせよ、四や九という臼数は避けて搗きましょう。(餅は縁起物なので・・・・)あなたがキリスト教徒なら、13も避けて下さい。

蒸かす方法はガスでもOKですが、うちでは薪ストーブを使って一気に蒸き上げるようにしています。右の画像ではセイロはひとつですが、この上に二つ目が乗っかります。新しいセイロを上に乗せて、蒸き上がった下のセイロから順に搗いていきます。上の蓋はあまり密着するタイプの物だと、蒸気の通りが悪くなるので、湯気の逃げ道を作っておきましょう。蓋とセイロの間にタオルが一枚入っています。

蒸かしている間も時々もち米の様子を見て、指でつぶして芯が残らない程度まで蒸かします。この蒸かしが足りないといくら搗いてもいい餅にはなりません。

こねる

臼に熱湯を入れて温めるよ〜くこねる

さて、搗く前にやること・・・臼、杵、足場に塩を振って、清めておきます。縁起物ですから、バカバカしいと笑い飛ばさず、しきたりを守るようにしています。

その後臼に熱湯を入れて臼を温めておきます。これは私の臼が御影石製であり、寒冷地であるためです。木製の臼でも、温めておかないと餅が臼にくっついて収拾がつかなくなります。

次に蒸かしたもち米を臼に入れて、こねの作業に入ります。これは餅つきの中でも重要な作業で、ちゃんとやっておかないと、搗く度にもち米が臼から飛び散ります。画像では二人でこねていますが、もちろん一人でもOKです。ここで餅が粘りを出し、粒々がこなれる程度までしっかりこねておくと次の搗きの作業がかなり楽になります。肩で息をするほど体力を使います。

搗く、丸める


搗く左の画像はこねが終わって搗き始める状態です。

合い取り(あいどり、水を手につけて杵の合間に餅を返す人)と搗き手は声を出しながら、タイミングよく搗くようにしましょう。熱い餅を返す合い取りは場合によってはへらを使っても良いでしょう。上手く返さないと餅が臼にくっつきます。合い取りは水を使いすぎると腰のないヘニャ餅になるので、少ない水を上手く搗く場所に打ち、杵が餅に着かないように配慮します。搗き手に対して楽そうに見える合い取りですが、腰に負担がかかり、けっこうきつい役でもあります。

搗き手は馬に水をやり(杵の搗く所を水に浸す)搗いている時、餅が杵にくっつかないようにしてから、搗き始めましょう。あまり杵に餅がくっつくようなら、搗いている最中でも少し馬に水をやってもかまいません。その年のもち米によっては、妙にくっつく時もあります。そういう場合は、搗き手も合い取りもちょっと水を多めにして、餅の粘りを調整しましょう。

粉をたっぷりつけて取り分ける
うちでは搗き手は二人で前半と後半に分かれて搗くようにしています。パワーで搗くのではなく、杵の重さを利用して搗くようにしないと体力が持ちません。手早く搗き、餅の温度が下がらないようにしましょう。粒々がなくなり餅の表面がテラッとしてきたら、搗きあがりです。


搗き上がったら、臼の中でパイ生地を折り込む要領で中央に餅を畳み、それを繰り返しきれいな餅にします。その後、伸し板(のしいた)に澱粉をしっかり振っておいて、その上に折り込んだ部分を下にして置きます。まんべんなく澱粉をまぶして、手につかないようにして、一人が右の画像のようにくびり取り、丸め手に渡します。画像の右手前と中央上の丸め手はくびり取った部分を中に折り込んできれいにしています。その後、伸し板の上ですくうように丸めて丸餅の出来上がりです。お鏡餅もこの要領で作れます。


出来上がり

草餅にあんをいれる丸もち、伸し餅、草もち、あんころもちなどたくさん

この画像では丸餅と伸し餅を紹介していますが、うちでは毎年草餅、豆餅も搗き、あん餅も作ります。

草は春先にヨモギの芽を採って、茹でて冷凍保存しておきます。それを電子レンジで解凍し、餅といっしょに搗き込みます。緑色が均一になったらOKです。この餅は風味があり、なかなか乙なものです。

豆餅は黒豆をもち米といっしょに蒸かして、ほとんど搗き上がった餅に入れて搗き込みます。あまり元気よく搗くと豆がつぶれるので、仕上げ搗きをしているつもりで搗けば上手くいきます。豆餅は搗いている時に、塩を入れます。塩を入れた後で、ちょっと搗いて味見をし、ちょうど良くなるように加減しましょう。この餅は伸し餅にして、少し硬くなった時に包丁で切り、焼いて食べるのが美味しいでしょう。豆の風味と塩味で食べ過ぎに注意です。

あん餅はあらかじめあんを作っておき、スプーンで取り、餅で包むようにして上手く丸めます。出来たてのあん餅は絶品です。画像は草餅にあんを入れています。餅の皮が均一な分厚さになるように丸めるのがコツです。これは硬くなっても、焼けばとても美味しい餅です。焼いたあん餅はあんが熱くなっているので、やけどに注意しましょう。

きれいに洗えばどの段階で搗いてもOKですが、豆餅と草餅は色が出るので、最後の臼で連続して搗くようにします。


使い終わった道具はきれいに洗い、こびりついた餅なども削ぎ落として、来年のために保管しておきます。ただ、体の方はメインテナンスをしても、数日は唸りながら動くことになる憂き目を覚悟しておきましょう。

以上、大まかな流れですが、臼と杵を使った昔ながらの餅の搗き方です。もし、解らないことがあれば、DMを下さい。




2010年の餅搗きの様子



2012年の餅搗きの様子




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