小さなパラボラ 福寿草 



露出オーバーでもないのに・・・福寿草を撮影されたことがあるでしょうか?右の画像をご覧下さい。天気の良い日に福寿草を撮影すると、こんな風に花びらの一部がテカってしまうことがあります。肉眼ではそれほどテカっているように見えませんが、撮影するとあれれ・・・となります。別に露出オーバーでもないのに、おかしいな〜と思われたことがあるでしょう。

一段くらい絞ってもテカリが消えません。これは福寿草の花びらが、太陽光を反射しやすいように出来ていて、本当にパラボラアンテナの働きをしているためです。福寿草は早春、雪が消えるとすぐに地面からニョキっと生え出し、花を開きます。まだ温度も低いため、大切なおしべやめしべに太陽の熱を集中させる必要があるのです。中央部の温度は、気温より10度も高くなることもあります。

福寿草の花は太陽が出ていない時、おしべやめしべを護るためにしぼんでいますが、ひとたび太陽の光を受けると10分ほどで開くことが出来ます。じっと見つめていると開いていくのが解るほどです。また、午前中の福寿草と午後の福寿草は、方向が違っています。絶えず太陽を追いかけ、少しずつ動いているのです。

虫がとまっている 実は福寿草には蜜がありません。にもかかわらず左の画像のように昆虫がとまっているのをご覧になったことがあるでしょう。他の早春の花々が蜜を使って昆虫を集めるのに対して、福寿草は花粉を昆虫に提供することによって受粉します。

そのためにも、温度を上げることによって、まだしっかり活動出来ない昆虫を呼び寄せる必要があるのです。まわりの気温より10度も暖かい福寿草の花の中なら、昆虫たちも盛んに活動できるのです。温度を上げることは、虫媒花である福寿草にとって、この時期昆虫を呼び寄せる必殺技なのです。


福寿草の種受粉した福寿草は左の画像のような種をつけます。この頃になると森の中は他の木々が新緑を開き始め、薄暗くなっています。福寿草はエゾエンゴサク、カタクリ、オオバナノエンレイソウなどと同じく、森の木々が葉を広げる6月頃には一年の活動を終えてしまうのです。「春の妖精」と言われる所以です。

この種は蟻の大好物で、まわりの果肉の部分を食べます。蟻の活動範囲はそれほど広くありません。森の中の同じような生育環境にばら撒かれ、やがて芽を出します。


福寿草の子苗蟻に運ばれた福寿草の種は翌年発芽します。右の画像は発芽後2年目の子苗です。なるほど福寿草の葉をしています。画像にポインターを置いてみてください。

いかがでしょうか?一年目の苗は親の福寿草とは似ても似つかぬ葉をしています。双子葉植物の条件である双葉がちゃんとあります。

花が着けられるように育つまで、まだ浅い春のうちから芽を出し、まわりの草木が生い茂ると枯れる・・・これを繰り返し、やがて黄色い小さなパラボラを開くようになります。


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