’03年8月12、13日 知床方面釣行






8月12日


野宿の様子毎年、知床釣行では釣りになるかならないか、と考えたことはない。行ってロッドを出せば必ず楽しく過ごせるのが知床釣行だからである。しかし、今年はちょっと心配だった。前線と台風10号が8、9、10日にもたらした雨の量は半端でなく、北海道各地に被害を与えた。十勝の川はいずれもドロドロで水位も大幅に上がっている。

いくら原生林の中を流れる知床の川とは言え、もし濁りがひどいようだったら、オショロコマはあきらめ、海でのカラフトマス狙いに切り換えるられるよう#10も準備もしておく。

8月11日、ようやく仕事を終えて午後6時過ぎに帯広を出発。10時半頃に到着・・・。今年はご覧のように荷台の半分を真っ平にしてエアーベッドを置けるようにした。これで野宿もかなり楽になった。


原生林を流れる川オショロをやるかカラフトマスをやるかは、明日の朝に川を見てから決断しようと、さっさと寝る。明けて12日午前6時半、橋の上から川を見ると、さすがに知床の川は違う・・・・。水量はいつもの年より多いが、濁りはほとんどない。

「これならいける」・・・朝食を摂り、早速ロッドを手に靄のかかる川に降りる。右の画像はその川であるが、ずっとこの渓相が続いている。あれだけの雨も森が一時吸収し、ゆっくり水を出してくれるので、濁りはほとんどない。森が天然のダムと言われる所以である。しかし、水量が多いので渡渉がきつく、注意しないとコケそうになる。流れが速いので、弛んでいる所を狙ってウェットを流すが反応がない。

いくつかポイントを流したが、わずかにチェイスが見られるだけなので、一本目の川は1時間ほどで切り上げる。大雨で急激に水温が下がり、さらに大幅に増水したので底にへばりついているのだろう。陽が上がってからじっくりやれば出るだろうと、車に戻って軽く眠っておくことにした。いつもの通り、気の向くままの気楽な釣行である。


オショロのダブルヒット車の中で一眠り・・・「ムムッ・・・何か暑いぞ〜」と思って昼前に目を覚ますと、うっすらだが陽が出ている。朝は10度もなかった気温が17、8度になっている。魚の活性も上がっているだろうと二本目の川に入る。予想通り一投目から早速オショロコマの反応があり、ニンマリする。今年も会えた知床のオショロコマ・・・・。

いつもの年なら水面直下を流すと川底から上がってきて、ドライに出るようにライズし、フライを捉えるのだが、今日はちょっと深めがキモのようである。ドラグフリーで少し沈め気味にし、深めを探るととググッと来る。

そのうち、辻君の作ってくれた3番6ftのバンブーがバットから曲がるものすごい引き・・・「これはついに尺オーバーか」と色めき立ったが、寄せてみるとドロッパーを捉えたのは普通サイズのオショロである。「あれれ、どうなってんだ? スレか?」と思ったら、リードにオショロがもう一匹・・・ダブルヒットである。


良型のヤマメ今年はダブルヒットが多かった。大雨の後、水温も水量も安定してきて、ようやく餌を摂れる状態になったばかりだったためだろう。さらに一箇所に魚が集中しているのが原因のようである。さりとて、リードのみではヒット率がガタ落ちになるので、ドロッパーはつけたままで釣っていく。やはりアピール度の違いか・・・・。

やがて流芯近くではライズも見られるようになり、それを狙い打つとヤマメも混じるようになってきた。3時間ほど楽しく過ごせたので、一度車に戻る。一休みして夕方三本目の川に入ったが、ここは増水のため移動できる距離がわずかしかなく、数匹釣っただけだった。やがて雲行きが怪しくなり、気温も一気に落ちてきたので、納竿。まあ、心配していた割には十分楽しめた初日であった。

相棒との待ち合わせの場所に移動した夕方、シトシトと雨が降り始める・・・ラジオの気象情報によると大雨が降っている所もあるとのこと。ラジオに時々ノイズも入るので、雷も鳴っているようである。知床がこの程度ですんでよかった。夜半に相棒と合流した頃には雨もあがり、明日への期待が膨らむ。明日は二人なのでちょっと川の奥まで攻めてみることになっている・・・・。


8月13日

水中のオショロコマ、まさしく渓流の宝石明けて13日。昨日は早朝からやって失敗だったので、ゆっくりと過ごし、気温が上がり始めた8時過ぎに予定の川に入る。入るなり二人とも連発ヒットが続く。今年も知床天国モードに突入したようである。

今日は朝から適度に太陽が顔を出すので、虫のハッチも多く、魚の活性もかなり高いようである。

今年は、渓流の宝石オショロコマの水中の様子を撮る予定だったので、デジカメの水中カメラハウジングも持って行っていた。手を水中に入れて撮影していると、数枚撮っただけで手がしびれるほどであった。ここは底が白い岩盤なので、白っぽいオショロコマである。




ジンクリアの水にウェットを流す。右の画像は今回の釣行で一番たくさん魚が釣れた場所である。ここまで遡ると水は完全なジンクリアになっている。手前が上流で、私が立っている所が水深40cmほど、深い所でも70か80cm程度だろう・・・・底は白い岩盤になっており、増水で小石などは流れてしまっている。

この状態ではどう考えても、魚が隠れる場所はない。そう判断したので遡上の際、この流れの中を歩いて上がって来た。この上に好ポイントがあり、そこを見ながら歩いていたので、足元はほとんど見ていなかったが、魚がいたとしても散ってしまっているはずである。

ところが、ここでフライを流しっぱなしにして、相棒と雑談しているとロッドティップを持っていかれ、オショロがダブルヒットしていた。さっき歩いたばかりの場所である。同じパターン(と言っても、流してロッドを止めておくだけ)でやってみると、次々にヒットする。

ピーターロス&シルバーセッジ流れに逆らったフライが水面直下で止まった状態になっていると、中央の少し黒くなった部分から次々にオショロが出て来て、フライにアタックしている。一匹がフライを捉えると、数匹がそれを追って来て、もう一本のフライにヒットするのがはっきり見える。

魚は雨の直前に気圧の下降を悟り、大喰いするという。雨後も流下物がある程度落ち着くと荒喰いするようである。
ワンキャストツーキャッチが連続する。フライは別に何でもOK・・・大雑把な釣りであるが、原初の川の魚はこんなものだろうかと思う。左の二つのフライはここでウィングもボディもボロボロになるまで使った。

午前中はここで終了。林道に這い上がり、車に戻る。



あふれる緑の中午後は午前中の続きの所から入渓。さらに川の奥を目指すが、どのポイントでもバンバン出て、爆釣モードは相変わらず全開状態。

午後3時を過ぎた頃、黒い雲が低く垂れこめてきたし、たくさん釣って満腹状態になったので、納竿。帰途に着いた頃には雨が降り始めた。いいタイミングで切り上げることが出来た。

函状態の中を流れる川、
綺麗なジンクリアの水、その中から出てくる渓流の宝石、左右の岸壁には無数の山野草、人工物は一切なし、聞こえるのは流れの音と鳥の声のみ。川原に座ってポケ〜としていると日頃の憂さなどすべて流れ出ていくようであった。







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